七夢
□飛べない小鳥が巣立つとき
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【飛べない小鳥が巣立つとき】
私はあるテレビ番組を見ていた。ジャンルでゆうと、動物や自然界を舞台にした番組。
怖がって巣から飛び立てない小鳥がいた。下が怖いのか、風が怖いのか………なかなか巣立てないでいる。
私は、テレビごしに“頑張れ、頑張れ”とエールを送っていた。
しばらくして、なかなか飛び立てないのを見ていた親鳥が飛んできて巣を揺らした。巣が斜めにかたむいて、巣にいた小鳥は真っ逆さまに落っこちた。たまたま羽を動かした。ゆらゆらだけど、不安定だけど、飛べた。小鳥は不安と一緒に感動を覚えた。墜落しないか心配な反面、大空を舞うのはこんなにも気持ちよいことだったのかと。
やがて小鳥は風をきって飛ぶようになった。
私はひきこもり。
知人に春のお花見に誘われて半年ぶりに外に出た。外の世界は明るくまぶしく感じた。私にはまぶしすぎるくらい。
私もこの前テレビでやっていた、なかなか飛べなかった小鳥のように巣立てる日がくるのだろうか。不安を抱えながらも、さわやかさを得ることができるのだろうか。
独り立ちさせたかった親鳥の気持ちと小鳥への愛はわかる。
親は私を学校へ行かせようとする。悪気はなく、愛からの動機だとわかっているからよけいツラい。
私はできるところから始めよう。
まずは運動としてのトレーニングマシン、家の敷地内外出からだ。
さっそく郵便物を取りに外へ出た。
風が心地よく感じた。
太陽も悪くないかも…そう思った。
そんなある日の午後でした。
(2010年4月21日完成)