ドクターX(cp)

□第7話 進展
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未知子「お疲れ」

加地「お疲れさん」

高級とまではいかないが少しだけグレードの高い焼肉屋で二人はグラスを傾ける。相手が大門じゃなければ意見を聞くが手術の次にお肉が大好きだと知っているので迷わずこのお店をチョイスした。

未知子「本当に好きなの頼んで良いの!?」

加地「あぁ」

瞳を輝かせながらメニューを見る大門に苦笑しつつビールを流し込み。大門の食べる量を考えると安く済みそうではないがお金には困っていない。
少し前は看護師に貢ぐために結構な出費があったが今の時代そんな事をすればすぐにトラブルへと発展してしまう。故に自然と出費が減り今は貯まる一方だ。そんな事大門の前では言えないがー。

未知子「じゃあ…特上を全部とサラダとご飯!加地ちゃんは?」

加地「何でも良いよ。適当に食うから」

未知子「そう。なら頼んじゃうよ」

店員を呼び注文をする大門だが明らかに先程述べていた品より多い。今までの経験上残しているのを見たことがないので今回も食べきってしまうのだろうが普通に考えると二人で食べきれる量ではない。大食いの人には華奢な人が多いが一体どうゆう造りになっているのか医者として凄く疑問だ。

未知子「ほら早く焼いて焼いて♪」

加地「はいはい」

ビールを飲みながらお通しを堪能していると次々と運ばれてくる料理。当然すぐには食べれないので先にサラダへと手をつけている大門に焼く気配はない。端からそうなると思っていたのでトングを手に取ると網いっぱいにお肉を乗せる。ジュ〜っという音をたてながら色づいていくお肉を見る大門は本当に幸せそうでつられるように頬を緩ませた。

未知子「いただきまーす」

当たり前のように自分のお皿へと乗せられたお肉を好みのタレに付け口へと運ぶ。時おり焼肉屋に連れて行って貰ったり家で楽しんだりとしているがグレードが違うだけに美味しさも別格だ。数回噛むと消えてしまうので箸を止める事無く口へと放り込んだ。

未知子「加地ちゃんも食べなよ!スッゴい美味しいから!」

加地「食べてるよ」

乗せては消えていくお肉に追われ食べれてないというのに良くそんな事が言えたもんだと思いながらも合間を見付けて自分の口へと放り込む。

未知子「もっと頼んじゃうよ!?」

加地「好きにしろ」

過去に何度も女性と食事をしたが異性の視線を感じながらだと遠慮する女性がほとんどで食べてる姿を見ても何も感じたりしなかったのに。周りなんて一切気にせず大口を開けて食べる姿に心を奪われた。食べてる姿を見るのが好きだと言う男性の気持ちが今なら凄く理解出来る。

未知子「幸せ〜」

口一杯に頬張りながら満面の笑みを浮かべる彼女にお腹も心も満たされ目が離せない。網に乗っているお肉に気を配りながら酒を流し込み穏やかな一時を楽しんだ。




















加地「なぁ。なんで俺を見てたんだよ」

食べ始めてから小一時間。少しはお腹も満たされただろうと軽い会話から話の路線を変えてみた。

未知子「ん?本当に意味はないよ」

加地「…話したくないなら良いけど」

周りに人が居ると深く追求も出来なくて気にしてないフリをしてきたがやはり気にはなる。今なら話してくれるかもと聞いてみたがそう上手くはいかないようだ。

未知子「そうゆう訳じゃなくて。私だってなんで見てたか分かんないもん」

加地「なんだよそれ」

未知子「何か。あれから凄い気になっちゃって」

加地「あれって何だよ」

医療の話しをしている時は隙がないのにそれ以外になるとどうも会話が噛み合わない。普段は時間もなく慌ただしい中での会話がほとんどで問いただしたりしないが今日は邪魔されずにゆっくりと会話が出来る。お皿に残っているお肉をつまみながら大門へと視線を向けた。

未知子「少し前にねー」

以前は話す必要などないと思ったのに何故だか今日は話しても良いと思え一旦箸を置くと加地へと視線を向ける。自分でも良く分かってないので話したところで何の解決にもならないと思うが一応説明してみた。







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