ドクターX(cp)
□第7話 進展
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加地「…それで?」
何を予想していた訳ではないが大門から発せられた言葉の数々は全く予想していなかった事で正直驚きを隠せなかったが同時に嬉しさも込み上げてきていた。なのに話の最後もまた予想と違っていて少し肩を落とす。
未知子「それでって?それだけだけど」
加地「待て待て待て。そんな筈ないだろ」
話をまとめるとあのぼったくりマネージャーとの話の流れで自分の名が出たと。それ以降ずっと気になっていたと。それが事実であれば導き出される答えは一つのはずだ。
未知子「それ以外に何があるって言うのよ」
城之内に話した時も同じような事を言われた気がするがその先に一体何があるというのだろうか。大門からすれば二人の反応が理解出来なかった。
加地「嘘だろ!?」
未知子「城之内先生に話した時も同じような事言われたんだけど」
加地「……まさかとは思うけど本気か?」
未知子「何が?」
何が言いたいのか全く分からなくて再び箸を動かしながら加地へと視線を向けるとテーブルに肘を付き頭を抱えていた
加地「…もう本当に全部が予想外だよ」
決して城之内の反応は間違いではない。誰が聞いたって自分達と同じような反応を示すだろう。性格はともかく見た目の良さや海外生活も長い事から恋愛に関してはそれなりの経験があると踏んでいたのにー。コミュニケーション能力だけではなくそっち方面も幼稚園児レベルだなんてもうお手上げだ。
未知子「意味分かんないんですけどー」
相変わらずの態度だが少なくても自分が思ってる以上に大門の中で自分の位置が高いという事だけは事実だろう。何故それが"好き"だという感情にならないのかは本当に疑問だが今はそれが分かっただけで充分なのかもしれない。
加地「良いよもう分からなくて。それがお前だからな」
好きだと言われた訳ではないがある意味そうゆう風に言われているようにも取れて言葉には出来ない複雑な心境だが嬉しさも隠しきれず大門に視線を向けながら破顔した。
未知子「なにそれー。何かバカにしてない!?」
加地「してねぇよ」
未知子「今の顔は絶対してたって!」
加地「どんな顔だよ」
未知子「んー。半笑いみたいな?」
加地「まぁ笑ったのは事実だけどな」
未知子「ほらやっぱり!バカにしてるじゃん」
手術の時はあんなに真剣な眼差しをしているのに今目の前に居る大門は表情がコロコロと変わり見ていて飽きない。
加地「バカになんかしてねぇよ」
未知子「じゃあなんで笑ったのー」
加地「可愛いなって思っただけだ」
恋をするうえで駆け引きは必要なものだと思っていたが大門相手にそんな事をしても何の意味もない。どうゆう反応をするか見たいというのもあり本音を口にすると一瞬面食らったような表情を見せた後いつもの笑みが返ってきた。
未知子「加地ちゃん酔ってるー」
加地「そんな飲んでねぇよ」
男同士で飲むときは羽目を外すぐらい飲んだりするが女と飲むときは送り届ける事を前提としている。なので今日も当然適度にしか飲んでいない。
未知子「頭でも打った?」
加地「打ってない」
未知子「えぇー。おかしいな」
加地「何がだよ」
未知子「酔ってもなくて頭も打ってないのにそんな事言うなんておかしいじゃん」
テーブルに肘を付き身を乗り出しながらジッと見つめてくる大門に視線を向けつつテーブルに置かれている小皿へと手を伸ばした。
加地「タレがつくぞ」
未知子「ぇっ…?」
視線を下へと下げた大門は無数に置かれてあるお皿を横に避け座り直すと再び加地へと視線を向ける。
未知子「やっぱり酔ってるでしょ」
加地「やっぱりって何だよ」
未知子「だって加地ちゃんが優しいもん」
加地「好きな女に優しくするのは普通だろ」
あまりにもナチュラルに言われたので納得してしまいそうになったがすぐにその言葉が頭の中を支配した。まるでリピートボタンを押されたかのように繰り返し響き渡る。
未知子「好きなの…?」
明らかに今までと違う反応が返ってきたのでこれをきっかに何か変われば良いなと思い持っていたグラスを置くと真っ直ぐ大門を見据えた
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