ブレイム・ヒーローズ
□呼び声ーー怪獣ーー
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学校には時間ギリギリで到着した。少年と同じ状況の生徒でグラウンドは軽い運動会な形になっている。そんな中でも彼は流されずに自分の空気を醸し続ける。
―――教室では生徒達が自由な時間を過ごしている。その中で窓側に集まり雑談をしている三人の男女の生徒。
「今日も朝は眠いぜ‥夜に勉強させたって気が入らなきゃやってられねーつの!」
「朝からグチなんか叩くなよ、僕はバイトバイトで疲れてるんだから。」
「そういうのを愚痴って言うのよ。全く、明るい話は出てこないのかね。」
「偉そうなこと言ってるけど、お前にそんな話出来るわけねーだろ。人の話しか楽しみがないくせに。」
「なぁ?!失礼ね、あんたなんか勉強しかされられること無いじゃないのよ!趣味でもみっけなきゃ女なんて寄ってこないわよ!」
「へ、今の俺は女より自由優先だよ。」
「‥はぁ、二人とも毎回朝からウルサくしないでよ。」
その口喧嘩は周囲にも響きわたる。他の生徒は「いつもの事か」と言わんばかりにあきれ顔で笑い流す。彼らはいつもこんな調子なのだ。
そんな中ドアが静かに開き例の少年が入ってきた。教室の調子に流されずに暗さを漂わせ曇り無しに自分の机へ足を進める。窓側の自席へ座り、そうそうと空を眺め始める。まるで何処の会社にもいる窓際社員のようだ。周りとも絡まず自分1人で静かに過ごす。今の彼のスタイルとも言える。周りは彼の存在をも気に触れようともしない。この空気の中、黙りの上に溶け込んでいない、浮いてしまっている。誰でもそんな奴は相手にしたくないだろう。
物好きを除いて。
「オス、比奈塚。」
口喧嘩をしていた男子生徒が少年へ寄ってきた。物好きのようだ。
「また朝からウルセーんだよ、参っちまったよなぁ?」
先ほどとは何とも違い親近感の沸いた喋り方だ。
「じゃあ話すなよ。」
「‥つ、付き合いってものがあるだろうよ‥」
「くだらない事言ってないで席つけよ。時間だぞ。」
何とも冷たい一言でとどめを刺す。彼はとことんひねくれているようだ。生徒は流石にたじたじだ。何か負けた気分で席に戻っていく。