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□教えて!マイダーリン
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毎朝毎朝、鏡とにらめっこしてどこも変じゃないか確認する。

「変じゃないよね?」

まあ可愛くもないけど…そう思いながらもう一度、髪をくしでとかす。わたしの彼氏は世でいうイケメンで、こんな平凡なわたしには勿体無いほど優しくて気もきく。

「おー、あゆみ!おはよ」

名前を呼ばれては、いちいち高鳴るこの胸の鼓動をどうにかして欲しい。(ちくしょー、今日もかっこいい…) 同じクラスのブンちゃんと付き合いだしたのは、ほんの一ヶ月前。わたしが好きで好きで仕方なくて告白した。運よく付き合えたのだが、こんなにかっこいい彼氏だ。わたしは少しでもブンちゃんに釣り合いたくて、お化粧や髪型をがんばってはみるが、やっぱり何をしても普通だ。ブンちゃんは、わたしの何が好きで付き合ってくれてるのか…考え出したらキリがない。

「なにぼーっとしてんだよ。俺といて楽しくねーの?」
「ち、違うよ!ただ…ブンちゃんはわたしのどこが好きなのかなあって…」
「はあ?そんなことで悩んでんのかよ」
「わたしには大切なの!」
「ふーん」

え、「ふーん」って!?結局はどこが好きなの!?

「ねぇ!教えて!」
「うーん…好きなところだろい?うーん…」

えー!そんなに悩むの!?やっぱりわたしのこと好きじゃなくて適当に付き合ってるの!?で、でも…ブンちゃんはそんな性格じゃないし…あーでもない、こーでもないと悩むわたしを見て、ぷはっと吹き出すブンちゃんにきょとんとするしかないわたし。

「…なにがおかしいの?」
「べつにー」

ぽんぽんっと頭を撫でられ、ドキッとしながらも納得のいかないわたしは、その後もしつこく聞いたがブンちゃんは一向に教えてくれなかった。そのせいで授業中もそのことばかりを考えてしまって、全く身に入らなかった。ちらりと、ブンちゃんの方を見ればこっちを見ていて、ニヤニヤ笑ってる。わたしがこんなに悩んでるのになにがおかしいのよ!ブンちゃんのバカっ!
――お昼になってブンちゃんと屋上でごはんを食べた。

「眉間に皺よってるぜ。まだ悩んでんの?」
「悩んでる!」

ブンちゃんがなかなか教えてくれないから悩んでるんじゃない!もしかしたら、本当に好きなところなんてないんじゃ…あー!そんなこと考えたくない!

「ぶ、ブンちゃん…わたしの好きなところないの?」
「どーかな?」

ど、どーかな?ってどういうこと…本当にわたしのこと好きじゃないの?じゃあ、なんで付き合ってるんだろう?も、もしかして、弄ばれてるとか!イケメンだからって酷すぎる!

「ブンちゃんの極悪非道!」
「ちょ、急にどーした?」
「ブンちゃんのバカ!」
「落ち着けって」

ぎゅっと握られた手を振り解きたいのに、やっぱり大好きなブンちゃんにそんなことをされては、それは出来ないのである。

「だって、ブンちゃんはわたしのこと好きじゃないんだよね?弄んでるんだよね?」
「どーやったらそんな考えに辿りつけるのんだよ…不思議なやつだな」
「じゃあ、なんなの?」

ブンちゃんの答えを待つ。ブンちゃんと見つめ合って、数秒。なぜか、ほのかに赤くなるブンちゃん。

「なんでそんなこと気になるんだよ…バカはあゆみだろい」
「なによ!もしかしたら、ブンちゃんは悪人でわたしのことを弄んでて、他にも付き合ってる人がいるかもしれないじゃない!まさか…わたしが浮気相手じゃないよね…?」
「お前の脳みそどうなってんの?すげーな」

ぷはっと吹き出すブンちゃんに、早く答えが聞きたくてそわそわするわたし。すると、ブンちゃんは急に真剣な顔をしてわたしを見た。いよいよ、真実を知るときがきたのね…つられてわたしも真剣な表情になる。

「俺にはお前だけに決まってんだろい」
「へ?」
「バーカ」

少し顔の赤いブンちゃんは「ほんと、バカだよなあ」とか呟いている。

「ブンちゃん?」
「俺はあゆみが好きだから付き合ってんの」
「じゃ、じゃあ…わたしのどこが好きか教えて!」
「バカなところ。見てておもしろいんだよ、お前は」

バカなところって…それって喜んでいいのか悪いのか分からないけど、ブンちゃんがわたしのこと好きならそれだけで大満足だ!

「わたしもブンちゃんが好き!」

そう言えば、「当たり前だろい」と少し照れていうブンちゃんにまた胸がときめいた。わたしをときめかせられるのはこの先もブンちゃんだけだよ。



2014.04.04

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