みじかいゆめ

□Kiss
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ペタペタと上履きをならしながら廊下を歩く。かったるい授業なんてサボってやろうと保健室に向かう途中だ。保健室のドアの前で、いかにも気分の悪そうな顔を作ってドアを開けた。しかし、先生はいないみたいで机の上に外出中と書かれたプレートが置かれている。それを見て、わざわざ気分悪そうにしたのにと思いながらも今日はツイてると喜んだ。と、同時にベッドにカーテンが閉まっていて先客がいることに気付き落胆する。

「ちぇっ、誰かいるのかよ」

少し開いていたカーテンの隙間から覗いてみると、そこには見慣れた先輩がいた。

「ゆき先輩」

すやすやと寝息を立てて寝ているのは、テニス部マネージャーでもあり俺の好きな人でもあるゆき先輩。俺のこと、いっつも子供扱いして全然相手にしてくれない。(もしかして、ペットみたいとか思ってるかも…) 近寄っても起きない先輩は無防備で、ドキドキした。薄くあいた唇に上下する胸。なんか妙に色っぽくて、ゆき先輩にキスしたくてたまらなくなった。(あー、俺って欲望に忠実すぎんだよなぁ)

「ゆき先輩、起きないならキスしちゃいますよー」

小声で言ったそれに当たり前に返事はなく、俺は自分の唇をゆき先輩のに重ねた。柔らかく甘い匂いがして自制がきかなくなってきて、啄むようにキスをしたり、唇を舌でなぞったり夢中になった。

「ゆき先輩、舌入れてもいいっスか?」

なんて聞いても予想通り返事はかえってこなくて、俺は調子に乗って先輩の口内に舌を忍ばせた。

「ふ…んぁ…」
「やば、止まんねぇ」

漏れる吐息によけいに興奮させられ、くちゅくちゅ音がなるようなキスにムラムラしてくる。

「んっ…や、やだ!」

起きたと思ったら、すぐに突き飛ばされ、少し混乱した目で俺を見てくる。

「あ、赤也…今、なにしたの?」
「なにって、ディープキス」
「っ!」

ゆき先輩は真っ赤な顔して俺を見てて、そんなゆき先輩が可愛くて俺の気持ちは止めらんねぇ。

「俺、先輩のことが好きっス」
「じ、順番逆だよ!」
「ゆき先輩は俺のこと、どう思ってるんスか?」
「人の話ききなさっ」

ゆき先輩が言い終わる前に、先輩の唇に俺のそれを押し付けた。

「聞かない。ゆき先輩は俺のもんっスよ」
「あか…や」
「俺のこと子供扱い出来ないようにしましょうか?ね、ゆきせーんぱい」

ゆき先輩の首に手を回し、またキスをした。


2013.04.20

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