みじかいゆめ
□誘う君、欲情する僕
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「今日うちに来ない?」
いきなりゆきに誘われた、と同時に速くなる俺の心臓。
「は?いや、行ってもえんか?」
「うん!今日うち誰もいなくて晩ご飯一人だから一緒に食べて欲しくて…ダメ?」
「いや、ええよ」
なんだ晩メシか、とちょっと残念に思った。(俺だって男じゃ。考えることは一つじゃろ)
――そして放課後。ゆきの家に帰る途中、なに食べたいとか今日するテレビ番組の話とかしたり、ゆきも俺も何だか嬉しくてわくわくしていた。家に着くと「そこに座ってて」とリビングのソファーに俺は座らされて、ゆきはというとエプロンをしながらキッチンに向かった。特に何もすることが見つからず、俺はその後ろ姿をリビングから眺めた。いそいそと準備をする後ろ姿は、スカートがゆらゆら揺れて太ももがチラチラ見え隠れする。
「ちぃとスカートが短くないか?」
「そうかなぁ…って、見ないでよ!」
「別に恥ずかしがらんでもえぇじゃろ」
「もう!あっち向いてて!」
そう言って顔を赤くして、ぷりぷり怒ってるゆきは可愛い。トントントンと野菜を切る音がし始めた。ゆきはおっちょこちょいな所があるから危なっかしい。そんなことを思っていると、キッチンから想像していた出来事が起こったと思われる声が小さく聞こえた。
「ぁっ…いったあ…」
ほら、やっぱり。近寄って見てみると、小さな指からは血が滲み出ていた。
「大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫!ちょっと切っただけだから…ぁ」
ゆきの指を取り、口の中に入れるとゆきは小さく可愛い声をあげた。
「んっ、はぁ…」
丹念に傷口を舐めると、ゆきの体はびくびくしていて何だかいやらしい気分になる。
「にお…もう、大丈夫だから」
顔を真っ赤にして、か細い声で俺にそう言うゆきは、ぱっと手を引き少し俺と距離をとった。
「…なんか手伝う」
「いいから、仁王は座って待ってて…」
恥ずかしがっているゆきはちょっとよそよそしい。仕方なく座って見てると、今度は鍋を取ろうと背伸びして頑張っている。ゆらゆら揺れるスカートは背伸びをすることによってかなり短くなってしまい、パンツが見えるか見えないか際どい。やっぱりスカートが短いと思う。ほんまに隙だらけで、これが俺じゃなかったらどうするのか。するとゆきはくるっと振り返り、何か言いたそうに俺を見る。(まるで、見てないで助けろと言わんばかりに) でも、頬を赤く染め涙目で俺を見るものだから助けてやらない。
「その顔は反則じゃよ」
ゆきに近寄り、シンクに手をつきその中にゆきを閉じ込め、少し強引にキスをした。
「あっ…ふぁ…」
ゆきから漏れる吐息に体が熱くなる。舌を入れて口内を掻き乱すと、ゆきはやめてくれと言わんばかりに俺を押し返す。
「ぁ…に、お…」
唇が離れてゆきの顔を見ると、目を潤ませ呼吸を乱し俺の方を見ていた。
「ゆきが誘ってきたんじゃ、文句は言わせんぜよ」
そう言って、恥ずかしがるゆきを抱き締めて、また唇を重ねた。
2013.04.20