みじかいゆめ

□キス、その先
1ページ/1ページ

俺はゆきが好きで好きでどうしようもなくて、その瞳、唇、声、柔らかそうな体、全部を俺のものにしたくてたまらない。でも、大切なゆきに俺の欲望をぶつけてしまえば、むちゃくちゃに貪って手加減なんて出来ないほどに激しく抱いてしまいそうで怖い。今も腕の中で触れるだけのキスをすれば、体が熱くなって、その欲望を押し殺すことに必死で余裕なんてなくなる。そんな俺の気も知らないで、じっと俺を見つめるゆきを今にも押し倒してしまいそうだ。(こいつ確信犯か?)

「ブンちゃん…わたしのこと好き?」
「当たり前だろい」
「…嘘でしょ?わたしのことそんなに好きじゃないくせに」


は?こんなにも大切にしてるのに、なんでそんなこと言うんだよ…。

「なんで?」
「だって、ブンちゃんはいつもちょっとしかキスしてくれない…わたしに色気ないから?」

その瞳から溢れる涙にさえも欲情してしまう俺を、ゆきは全然分かってない。

「違う」
「じゃあ触ってよ!もっとキスしてよ!」

ボロボロ瞳から涙を零し泣くゆきに、俺の抑えていた感情が溢れ出てきてゆきを強く抱き締めた。

「怖いんだよ!俺がゆきをむちゃくちゃにしてしまいそうで。ゆきに嫌われたら俺、生きてけねぇから」

そう言う俺をゆきは優しく抱きしめ返して、「ブンちゃんにだったら何されてもいいよ」なんて耳元で囁くから我慢できなくてゆきを押し倒した。

「なんも分かってねぇ…」
「分かってるもん」
「違うんだよ、ゆきの思ってるような俺じゃない…」

今まで何度も何度も想像した。ゆきが泣いてもやめてやらない俺がいて、自分の赴くままに貪り求める。大好きなゆきを相手に自制なんて効くわけない。

「ブンちゃんが好きなの。分かってないのはブンちゃんの方だよ」

そう言って俺の首に手を回しキスをするゆきが愛おしくて仕方ない。

「どーなっても知らねぇからな。嫌だって言っても止まんねぇから」
「ブンちゃんだったら大丈夫だもん」

目をゆっくり閉じるゆきに加速する俺の心臓はもう壊れるんじゃねぇかなぁって思う。好きで好きでどうしようもない彼女に初めて深いキスをした。もうこれだけで気持ちいいのにこれから先の行為をすれば、俺はどうなってしまうんだろう。


2013.04.25

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ