みじかいゆめ

□溶けるアイス
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窓からは少し湿気を帯びた風が体をすり抜け、じわりと汗ばむそれは気持ち悪い。夏は暑くて嫌いだ。

「仁王、暑い」

棒付きのバニラアイスを食べ、俺の部屋で扇風機の前を陣取って動かないのは、恋人のゆき。久しぶりの放課後デートは、暑いから部屋でのんびりするのが一番だ。

「俺も暑いけ、それ首振りにしてくれんかのう」
「そんな涼しそうな顔して暑いの?」

俺だって暑い。

「ねー、クーラー付けないの?」
「つけん。体が怠くなる」

「えー」と言って、スカートや第二ボタンまで開けられたシャツをパタパタ扇ぐゆきは、ぷくっと頬を膨らました。手には、だんだんと溶けるアイスがゆきの指を伝う。夏は嫌いなんじゃが…、それなりにいいかもしれん。

「俺もアイス欲しいのう」
「一口あげようか?」

そう言って、俺の方にアイスを渡そうと手を伸ばすゆきの手首を掴み、指を伝うアイスを舐めればゆきの肩がビクっと震えた。

「こっちも食べたいんじゃが」

人差し指でつんつんと唇を突っつけば、かぁっと顔を真っ赤にしてブンブン首を横に振るゆき。それがおかしくて、思わず吹き出してしまった。

「からかったでしょ…」

ゆきはムッとした表情を見せたが、まだ顔は赤くて、そんな表情も可愛い。

「からかっとらんよ。素直にそう思っただけじゃ」
「もう…」

ぷいっとそっぽ向くゆきは、また扇風機の前に戻り、アイスをペロっと舐める。ペロペロと舐められるアイスが羨ましい。俺もアイスになりたいぜよ。(変態とか言わんで欲しいのう) 部屋の暑さのせいで、一生懸命舐めるも間に合わず、少し捲れたスカートから出る太ももにぱたぱたと落ちていく。それに思わず、ごくりと喉が鳴った。これは、誘っとるんか…

「うわぁ…べとべと〜」

胸元にもアイスが落ちて制服を汚す。もっとベトベトにしてやろうか?プツンと何かが切れる音がすれば、意地悪く笑う自分がいた。

「ゆき…」
「なに?」

ゆっくり近寄りアイスを奪い、ゆきの唇や首筋に擦り付ける。

「んっ!つめた…」
「暑いけぇ、ちょうどええじゃろ?」
「ちょ、仁王!汚れちゃうよ!」

俺を押し返すゆきの腰をぐいっと引き、アイスを舐めるようにゆきの口元を舐める。

「口開けんしゃい」

潤んだ瞳で頬を染め、口を開けるゆきはすごくいやらしい。舌を差し込むと、さっきまでアイスを食べていたせいで口の中は冷たく気持ちいい。

「んっ…ふぁ…」

口から首元、胸元に唇を這わせるとゆきの体はビクビクと反応し、それが可愛くてもっともっとしたくなる衝動に駆られる。太ももに残ったアイスを押し付け、掌でそれをゆるゆると上下に擦れば、摩擦でアイスが溶けていき、コトっと音を立てて床に棒が落ちた。

「すごい、冷たい…」
「これから熱くなるけ大丈夫じゃ」

ねっとりと太ももを舐めあげれば、擽ったいのかゆきは身を捩り逃れようと後ずさる。逃がさまいと俺もゆきの腰に手を回し、アイスがたっぷり付いた太ももを堪能する。あー、これだけでイキそうじゃ。

「にお…はぁっ…!」

顔を上げると物足りなそうに見つめるゆきがいて、それに口を歪めて笑う俺。

「アイスもうまいが、ゆきはもっとうまいのう」

真っ赤な顔して見つめるゆきは俺の手を取り、アイスでベトベトになっている俺の指をペロっと舐める。

「仁王も美味しいよ?」

そんなこと、どこで覚えた…

「ゆき、可愛すぎじゃ」

どさっと押し倒すと、当たり前の様に首に回される腕に、クラクラと目眩がするような気分にさせられる 。天然なのか、計算なのか…俺を夢中にさせるのはゆきだけじゃ。俺は、その腕に引き寄せられるようにゆきの甘い唇にキスをした。


2013.05.25

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