「ブンちゃん、ちゅうして」

眠ろうと目を閉じていると、俺の頬を撫でる彼女がそう言った。薄暗い部屋の中で、俺の顔をねだるように見つめる彼女に、口元が緩むのを我慢しながら俺は平然を装った。

「さっきいっぱいしただろい」
「まだしたいの」

俺の腕の中で甘える彼女は、すっげぇ可愛い。でも、してやんない。

「早く寝ろよ」

そう言って目を閉じると、彼女は体勢を整え深いため息をついた。ちらりと横目で彼女を見ると、目は閉じているものの眉間に皺を寄せ口を尖らせている。拗ねてるときにする顔だ。彼女のこの表情が好きで、キスを断る俺は自分でも意地が悪いと思う。少したって、寝息が聞こえてきた。名前を呼んでも返事が返ってこないから体を起こし、彼女の頬を軽くつねる。ぴくりともしない彼女はもう夢の中で、数分で寝れるなんて子供かよって思った。そんな彼女が愛おしい。

「すきだ」

滅多に言わない愛の言葉を囁いて、寝ている彼女の唇に自分のを重ねた。



2013.08.27


コメントのお返事はmemoでしてます!



[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ