読み物1

□深紅・辛苦
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「とっておきのドレスで危ない夢を見る・・・」  


どこかで聞いた歌を口ずさむ。きっと今の私はこの歌そのままね。      

とっておきの真っ赤なドレス。もうすぐ黒に変わってしまうでしょうけど。  

危ない夢は常に見ているわ
でも最近思うようになったわ。          
きっとこれは夢じゃない。


「や・・・やめてくれ!金ならやるからやめ・・・」


うるさい、うるさイ、うるサイ、うルサイ、ウルサイ


あんまりにもウルサイから声帯をナイフで刺してしまったわ。        
可哀相なおじさん・・・喉にナイフを刺したまま声も出ないのに叫んでいるわ。


「太陽も躊躇う夜明け・・・」          


そのまま太陽なんて死んじゃえばいいのに。    そしたらずっと遊んでいられるのに・・・。    


「昔見た映画のワンシーンみたいに流れる星を追い掛ける・・・」      


星なんてここには無いから今、目の前にあるモノを星にするの。       

両手首を切り落として  
(血が溢れのた打ち回る)

両足首を切り落として  
(まだ逃げようとしているわ)          

両肩を切り落として   
(顔が白いのに紅い)  

首を切り落とす     
(もう動かない)    

おじさんはお星さまになれたのかしら?      
私には星なんて見えなかったわ。         


「人が死ぬと星になるってウソなのかしら?」   


もっと遊んでいたいけど太陽が昇ってしまったわ。 
本当に太陽なんて死ねばいいのに・・・。     
つまらないけれどお家に帰りましょう。      


・・・・・・・・・・・・


目が覚める。凄まじい鉄臭さに驚き辺りを見回して原因を探す。       

「キャァァァ!!」   

手が、服が、顔が、全てが黒に染まっている。   

また私何処かで人を・・・。           

「イヤァァァ!!」   

考えたくない!!知りたくない!!        

もう嫌・・・耐えられない

私は近くにあった血染めのナイフを手に取った。  



「いつまで寝て・・・キャァァ!」        

ベッドには自らの胸にナイフを深々と突き刺した少女が涙を流しながら眠っていた。          




。                        →後書き + 軽く懺悔
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