短編(ハッピーエンド)
□なまえをよんで
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「なぁなぁ?」
放課後。
それぞれがまだ教室で思い思いの事をしている中、スーパーアイドルであろう星野光が、退屈そうに机にへばりついていた。
目の前で微かに揺れる金色の髪を目で追いながら、その持ち主である月野うさぎに声をかける。
「……」
いつもならすぐに後ろを振り向いてくるのに、今に限っては何も反応がない。
この俺が声かけてんだぜ?
アイドルになってからなのか、それとも元来持っていた性格だったのか。
どこか殿様とも言わんばかりの事を思い、眉間に皺が寄る。
「…なぁーあ?」
まるで猫の鳴き声のような声を出してうさぎを呼ぶ。
「……」
それにすら突っ込まずに、目の前の髪が揺らめくのみだった。
…なんだよ、夜天ならすぐに猫だと思って近寄ってくるぜ?
人の事、バカにしてんの?
付き合いの長い、銀色の髪の少年がいたら間髪入れずに言われるであろう言葉と表情が浮かんで、深いため息をついて星野はまた机へ頬を擦り付ける。
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