太陽

□一番
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「貴方の花は私じゃないのね」
一人、ポツリという。
「花ではないな」
冷たく返すのは最愛の人。

 

「私は貴方の何番目?」
少し涙ぐませて恋人に問う。
彼はそんな彼女を見て一言。
「さぁ?少なくとも一番でないのは確かだ」
恋人を目の前にして彼はどうどう言う。
彼は一言で表すと冷たい。


しかし、彼には―とても少数ではあるが―大切な人がいる。
自分はどう割ったとしてもこの中には入れないのだろうか。
入れるはずがないことは分かっている。
昔から分かっている。


その人達に対する彼の

表情を見て、
態度をみて、
言葉をきいて、

自分がその立場にいられないとどれだけ知っただろう。


それでも、彼の一番になりたいという自分の気持ちは愚かなモノだろうか…………………?

「だが」
彼が彼女を見て一言。
「お前は特別だ。それで満足しろ」
満足だなんて。
それだけで十分だ。

 
どうして、この人は、
こんなにも欲しい言葉をくれるのだろう。
あなたがそうやって私にくれる言葉の一つ一つが、どんなに嬉しいか、あなたは知っている?

「嬉しい……」

彼は扇で口元を隠す。
彼女がそれを照れ隠しだとしるのはもう少し先の話。












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