太陽

□激励
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たまたま一緒になった学校帰りの電車で男友達に訊いてみた。

「好きな人、いる?」

ふと口をついた疑問には大した意味はない。この年頃にはよくある話題。「いない」と頭を振るか「いるけど秘密」とかわすのが普通。暗黙の了解。ある種の儀式みたいなもの。今だって、話題が欲しかっただけ。ただ・・・たしかに、女子が男子に訊くのは珍しいかもしれない。だから、

「お前になら教えてもいいかな・・・」

何故相手がそう答えたのかよくわからない。友情からくる信頼の証なのか。男子は女子よりも気軽にそういうことを話せるのか。それとも、ただの事故なのか。
でも、そう言われてしまっては引き返せない。

「だれ?」
鬼石おにし さち
「B組の?」
「うん」
「そっか・・・」
『――駅 ――駅』
 くぐもった声のアナウンス。私が乗り換える駅だ。
「じゃ、また明日」
「誰にも言うなよ?」
答える間もなく人波にのまれてホームに吐き出された。

暫くしてから携帯電話でメールをうった。

「私は何も知らない」

そんな会話をしたことさえ誰にも話さない。たとえ祥の気持ちを知っても教えてあげない。応援を含めた一切の手出しを封じる約束。
それだけのものを、十文字に満たない文面に込めた。でも、通じるはず。
返信はすぐだった。

「お前、やっぱりいい奴だな」

 ほら。だから、私はあんたの友達でいる。


ガンバレ


誰に届くともなく風にとけたのは、馬鹿みたいに真っ直ぐで、優しくて、少しといわずかなり不器用な友人への、心からの激励。








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