太陽

□無意味だとわかっていてもしたくなるのが現実逃避
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 その衝撃は突然私を襲った。
 
と、いきなり言われてもわけがわからないだろう。それは、夏休みのある日。私がエアコンを効かせまくった部屋で英語の宿題をしていた時のことだ。そして私は参考書の解説文の中にその例文を見つけってしまった。
 
「このクラスには佐藤さんが二人いる」
 
なんでだ。なんでこいつはうちのクラスの姓名事情を知ってるんだ!? たしかにうちのクラスには双子でもないのに佐藤が二人いる。普通、呼びにくいから、という理由でクラスは分けないか?
いや、冷静になってみればただの偶然だけどね。っていうか別に冷静にならなくても間違いなく偶然だ。この参考書が書かれたのだって絶対結構前だし。だいたいうちの学校のクラスのことなんて書いた人たちが知ってるわけないし。『佐藤』が日本で多い苗字だってだけで。だから、珍しい苗字の友人はたまにうらやましくなる。

さて、脱線してきたから次にいこう。他にもあるんだ。
それは、指定された範囲の教科書の内容をノートにまとめろという宿題だった。私がやっていた範囲は『名詞』。の中の『注意すべき複数形』。そのどこに引っかかったのかというと……『glasses』。つまり、眼鏡。どうしてガラスの複数形なんだ。
いや、わからなくもない。二枚のガラスレンズが対になっているからだ。解説文にも書いてある。でも、納得できない。どうしてレンズの複数形ではなく、あえてガラスなんだ。っていうか、そもそも最近の眼鏡はプラスチック……。昔はガラスレンズしかなくて、そのころのエライ人が決めたからだってことはわかってる。だけど、納得できないものはできないんだ! まぁ、駄々をこねてみたところで英単語は変わってくれないけどね。それくらいわかってるけどね。

その手の疑問は他にもある。例えば、理科。

「地球は西から東に自転している」

誰もが一度は(といわずしつこく何度も)聞いている言葉だ。しかし。地球が球体であり、どこから自転がはじまったのか証明されていない以上、「東から西」と言い換えても間違いではない。でもテストでこう書いたら確実にバツだ。理不尽だと思う。

「影が西から東へ動くのは太陽が東から西へ移動するから」
 
小学校三年生だか四年生の時に、学校でこう習った。そしてテストで「影が西から東へ移動するのはなぜか?」という問題が出た。その段階で「地球が自転している」ということを知っていた子供は少なくない。私は不幸にもその中の一人だった。もちろん素直にそう書いたさ! ……バツだった。理不尽だ。考えてみたらすごく理不尽だ。ちなみに私は今でもその時のことを根に持っている。

そろそろ真面目にやらないと宿題が終わらないから結論を出そうと思う。
スムーズに宿題を終わらせて夏休みをエンジョイするために大事なのは空気を読むこと。暗黙の了解に首を傾げてはならない。そんな事をいちいち気にしていたらキリがないんだから。暇つぶしには丁度いいけど、宿題を終わらせてからにしろ。
そして人生に必要なのは妥協とあきらめ。それから少しのプラス思考だ!








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