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□54話目
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風から僚堅の話しを聞いた数日後、由衣は部屋に戻り一人ぼんやりと本を読んでいた
『……』
「由衣?」
『……っ』
一瞬遅れて顔を上げると、部屋の入り口にクロームが立っていた
『クロームさん…』
「…入っていい?」
コクリと頷き本を閉じる。
クロームは由衣の隣に座った
「ボーっとしてた…悩み事?」
『あ…いえ、その…』
「……僚堅…」
『っ!! なんで…』
「守護者はみんな知ってる…」
クロームはそっと由衣の手を取った
「私も、由衣を守る」
『……』
由衣は一度クロームの手を握り返した後、ゆっくりとその手を外した
『私…やっぱりここにいない方がいいと思います…』
「由衣…?」
『そうやって、皆さん私の為に大変な思いをして…風さんもわざわざ香港から来てくださって…』
「由衣、私達がそうしたくてしてるの」
『わかってます。皆さんには本当に感謝してるんです』
そう言うと、クロームの首に腕を回し、ぎゅっと抱きついた
『大好きです。クロームさんも、皆さんも』
「…私達も、由衣の事が大好きよ。だから…」
『……有難う…ございます』