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□29話目
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その後、機嫌を直したザンザス達との楽しい夕食も済ませマーモンと共に先ほどの部屋に下がった
「それにしても、由衣は人助けが趣味なのかい?」
『………は?』
時刻はすでに深夜。しかし、マーモンが見せる幻覚の月のおかげで由衣も大分落ち着いている。
そんな時、急に思いもよらない事を言われたものだから、由衣はつい間抜けな声を上げてしまった
『レヴィさんの事ですか?』
「以前のスクアーロの事もだよ」
『……うーん…特にそういう意識はないですけど…』
パーティーの時の事と先ほどの事を思い出してそう言うが、マーモンは納得いかない顔をした
「ム、スクアーロはまだしも、レヴィは明らかに君に不利益な事をしたじゃないか。何故助けたんだい?」
『レヴィさんだって何もしてないじゃないですか。まあ、できなかった、っていう方が正しいのかもしれませんけど』
それに…と由衣は続ける
『レヴィさんは心配だったからって言ってたじゃないですか。だったら、自分を心配してくれた人が傷つけられるのを黙って見てる訳にはいきませんよ』
食事の後で自分に何度も頭を下げたレヴィ。彼が本当に自分に悪意があったとは思わない
「………由衣は本当にお人好しだね」
ハァ、とため息をつきながら言うマーモン。由衣はそれをにこにこと笑いながら見ている
『そうでもないですよ』
「…え?」
『あちらでは、攘夷志士を含め、たくさんの犯罪者を…』
殺しましたから。
「!!」
『本当は非戦闘員ですけどね。緊急時なんかは、やっぱり』
思いもよらない由衣の告白に固まる。しかし由衣は、どこか悲しげな笑みを浮かべたまま続ける
『国を守る。その為に存在するのなら、自分の手が汚れるのも構わない。刀を持たせてもらえないなら素手でも戦います』
真っ直ぐにマーモンの目を見る
『悪意があって、自分に危害を加える者にも、容赦はしません』