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□29話目
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『…スー……スー…』
先にベッドに入った由衣は小さく寝息を立てる。マーモンはベットの端に座って無垢な寝顔を見つめた
「由衣…」
聞こえないとわかっていながら名前を呼ぶ。もちろん返事はない
「ごめんね…」
あんな事を言わせるつもりはなかった。話している間の、由衣の悲しそうな顔が頭から離れない
ベットに入り由衣の体を抱きしめる。強く。でも壊れないように優しく。何物からも守るように。
『………ん…』
朝日が顔に当たりゆっくりと目を開ける。しばらくそのままボーッとした後、目だけでマーモンの姿を探すが見当たらない
昨日はお喋りが過ぎた、とぼんやり考えるが、如何せん。過ぎた事をあれこれ言っても仕方ない。
だるい体を起こし着替えを済ませる。
果たしてマーモンは昨日の事をザンザス達にも言っただろうか?
コンコン
『どうぞ』
ガチャ
「起きたのかい?」
『マーモンさん。おはようございます』
由衣がペコリとお辞儀をすると、ふわり、と温もりが体を包んだ
『マーモンさん…?』
「誰にも言わないよ」
『………え』
「こちらに居る間は君の過去なんか関係ない。僕は…今、目の前に居る由衣が好きだよ」
『……ありがとう…ございます』
安心したように微笑む由衣。マーモンもそれを見て柔らかく微笑んだ
………すると
「由衣ちゃぁ〜んvV起きたかしらぁ?」
「う"お"ぉい!!遅ぇぞぉ!!」
「ししっ、何マーモンといい雰囲気になってんの?」
ギャアギャアと煩い集団が乱入する
「ムッ!君達邪魔しないでよ。腹立つから慰謝料払って貰うからね」
『…マーモンさん…;(腹立つからって…)』