□30話目
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緊迫した空気に包まれる車内
ヴァリアー邸まではそんなに遠い距離ではない。その道のりで由衣に何かあったのか


「十代目、道が混んでるみたいなんですけど、迂回しますか?」

「何?どうかしたの?」

「さぁ…ここからじゃ何も…」


急いでいる時に限って…、と眉を寄せる
平日で、車が混む時間帯でもないのに。事故か何かあったのか?

「………事故…?」

小さく呟いた後、ハッとしたように顔を上げ車を飛び出した

「ツナ!!」
「十代目!!」


動かない車の列を縫ってソコへ行くと、黒塗りの車の前部が無惨に潰された事故現場が広がっていた


「………」

「十代目…この車は…」

「…ウチ(ボンゴレ)の車だな」

リボーンの言葉にコクリと頷くと近くにいた野次馬の肩を叩いた

「すみません。これ、どういう状況だった分かりますか?」

「いやーなんか対向車に突っ込まれたみたいだよ。そっちの車は無事だったみたいだけど」
 
「乗っていた人は?」

「直ぐ病院に運ばれてったらしいけど…「ありがとう」

綱吉は一言礼を言って病院に行く為に車へと向かった




「おいツナ」

「何?急いでるんだけど」

「あのガキ、さっきからずっとこっち見てやがる」


リボーンの指を追って振り向くと、10歳くらいの賢そうな顔立ちの男の子が何か言いたげな顔で綱吉達を見ていた


「…………君、何か知ってるの?」

男の子の前にしゃがんで目線を合わせると、ゆっくりと口を開いた

「病院に運ばれたのは男の人だけだよ」

「…えっ?」

「お姉ちゃんはお兄ちゃん達みたいな格好した人達に連れてかれた」

「「「!!」」」

「ぶつかった時、誰も見てなかったけど、僕は見た」


男の子は至って真剣で、とても嘘をついているようには見えない


「…話し…詳しく聞かせてくれる…?」


 
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