□30話目
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『…………ん…』

薄暗い部屋で由衣はやっと目を覚ました

(………ここは…?)

キョロキョロと辺りを見回すが、どうやら自分の知っている場所ではないようだ。窓もない事から、地下なのかとも思った。
場所の特定は諦めて自分の姿を見てみる。
横向きに寝転がっていて、手足は縛られ口には布を噛まされている。頭に痛みが走り少し頭を上げて見てみると、頭があった位置は赤黒く血が固まっている。


(…そうだ…車が…)


ヴァリアー邸からの帰り。運転手は気さくな男で「ボス達が首を長くして待っています」だとか「これからも出かける際は自分の車を使ってください」とか、にこにこと笑いながら話しかけてくれた。
由衣も笑顔でそれに返事を返そうとした時、突然対向車が運転席目掛けて突っ込んできた。
由衣はあまりの衝撃で気を失って、気づいたらここにいた。


(誘拐…マフィア関係か)

 
ガクリと項垂れたところに、ドアが開く音がした。
そちらを見れば、30代くらいの男を先頭に、その男と同年代か少し若いくらいの男達が数名。由衣の顔を見ると、にこりと笑った


「−−?」

(……………は?)

「−−−−−。−−−」
「−−−!!」

比較的若い男に怒鳴られたが、イタリア語がわからない由衣はポカンとして男達を見上げる。
すると

「−−−日本人だね?」

最初に入ってきた男が日本語で話しかけてきた。どうやらこの男がボスらしい。
由衣はコクリと頷く

「この様子だと、俺の部下が随分手荒なマネをしたみたいだね」

『!!』

髪を掴んでグイッと顔を上げられる


「君は…ボンゴレの愛人?いや、それにしては若すぎるか。妹がいるなんて聞いた事はないし…」

まじまじと見た後、興味を失ったようにパッと手を離され、重力のまま床に頭を打った


「ボンゴレを誘き出すエサになって貰うよ」


 
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