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□30話目
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「−−−−」
『………(イタリア語で話してんじゃねぇっつの)』
由衣は男が電話するのを見上げる。ボンゴレ、という単語が聞きとれたので、身代金がどうとか話しているのだろうか?
「……君は随分と大事に思われてるみたいだね」
いつの間に電話を切ったのか、ボスの男はニヤリと笑って由衣を見下ろした
「…君は本当はここで殺そうと思っていたが…予定変更だ。ボンゴレのバカ共の目の前で殺してあげよう」
『………』
「それまで、せいぜい大人しくしていろ」
男はそう言うと、部下の一人を置いて部屋を出て行った
(…ぶっちゃけこんな所、今すぐにでも脱出できる)
しかし由衣がそれをしないのは、以前交わした綱吉との約束があるからだ
「俺が絶対守るから。あんな殺気、人に向けちゃダメだ」
明文化した訳ではないが、その契約がある限り、由衣は手足の拘束を解きドアの前に立つ男の頭を握り潰して外に出る事は出来ない
(……あれ?……でも…)
今の状況は果たして"守られている"のだろうか?いや、守られてはいない。
ここにいる時点ですでにあの契約は白紙に戻ったのではないか?
(でもなぁ…)
あの男が言うには、とりあえず綱吉達がここに来るという事は理解できた。戦闘で負けるとはおもわない。だったらこのまま待っていてもいいのではないか、と由衣は考える。
(沢田さん達が来るまでは危害は加えられないんだろうし…)
綱吉達を待つ事にした由衣は言われた通り大人しくしてようと目を閉じた。
すると
『!!?』
由衣の耳元で男の荒い息遣いが聞こえる。
驚き目を開けると、先ほどまでドアの前に居た男が覆い被さってきた
『んー!!』
手足を拘束され、口を塞がれている由衣はジタバタと暴れるが、男はそれをものともせず、由衣のブラウスのボタンを引きちぎり胸に顔を埋めた
『っ!!』
その瞬間
由衣の頭の中で、何かが切れる音がした
ツヅク