□48話目
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部屋に戻った由衣は、クロームから貰った「イタリア語講座」という本を読み始めた。
程なくして、コンコンと軽いノック音と共にランボが入って来た


「由衣、調子どう?」

『うん。…まあまあ、かな?』

イタリア語に関わらず、外国語の勉強など今だかつてした事がないので要領がわからない。
その上江戸ではあまり聞いた事のない言葉が載っていたりして、由衣は悪戦苦闘しながらテキストに向かっていた


『えーと…女性名詞?』

「ああ、イタリア語だと話す相手が男性か女性かで語尾か変化するのがあって…」


ランボが説明するのを、メモを取りながら真剣に聞く由衣。
普段とは違う横顔に、ランボは少しドキッとした


『なぁに?』

無意識に由衣の頬に手が伸びていて、慌ててそれを引っ込め、「何でもない」と言うと『変なの』と笑う。
ランボもそれにつられて笑った


「……楽しそうですね」

『骸さん』

いつの間にかドアの前には骸がいた

「クロームに聞きましたよ。イタリア語を勉強しているそうですね」

『はい。まだまだなんですけど…』

骸はクフフと笑うと由衣の隣に座って肩を抱く

 
「家庭教師役なら僕に任せてくれればいいのに…。手取足取、優しく教えて差し上げますよ。ああもちろん別の勉強の方も『結構です』

ピシャリと言い放つと肩にあった手を退ける

『骸さん、今お仕事から帰ってらしたんですか?』

「はい。しかしまた直ぐに行かなければいけないんです…」

クフン、と残念そうに言うと名残惜しそうに席を立つ


「では、行って来ますね」

『はい。あの…』


パラパラとテキストを捲って『あっ』と呟くと骸に向かってにこっと微笑む


『えっと……Buon…ら、lavoro!』

「クフフ…Grazie mille」


ツヅク
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