□51話目
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「由衣」

『雲雀さん…』


フゥ太と別れ部屋に戻ろうと廊下を歩く由衣に、雲雀が声をかける


『お出かけですか?』

「任務でね。由衣は本読んでたのかい?」

手に持った本を指差し聞くと、由衣は苦笑を返した

『そのつもりだったんですけど…』


雲雀は、ふぅん…と呟くと、由衣の髪についていた木の葉を取る。
慌てて、すみません。と言う由衣にくすりと笑う


「ねぇ、由衣」

『はい?』

「君の事を好きなのは、あの二人だけじゃないよ」

『え…』


さらりと由衣の前髪を掻き上げると、額に唇を落とした

『っ!?///』

「ふ…じゃあ、行ってくるよ」


顔を赤く染めてポカンと口を開ける由衣に笑顔を向けると、軽く頬を撫でて立ち去った



『………っ///』

雲雀に撫でられた頬を押さえてその場にしゃがみ込む


(なんで…なんで?…なんで!?///)


「……由衣ちゃん?」

うぅ…、と情けない声を出す由衣に、今外から戻ったフゥ太が駆け寄った

「どうしたの?具合でも…」

『フゥ太さぁん…』


赤くなった由衣の顔と、今し方すれ違った雲雀の不適な笑みを思い出し、内心ため息をつくフゥ太だった


ツヅク
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