□53話目
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『あの…?』


真剣な顔で写真を睨む綱吉とリボーンに引き替え、由衣は事情が解らず首を傾げた

『どなたですか?』

「こいつが、由衣ちゃんを狙ってる男だよ」

『……っ』


先日スクアーロから聞かされた話を思い出し、眉間にシワが寄る。
写真の男はとても温厚そうで、とてもマフィアには見えない


「――実際、評判のいい男ですよ」

由衣の表情を見て風が言う


「マフィアで評判がいいと言うのもおかしいですが、地元の一般人やマフィアの間でもいい噂しか聞きません」

『……いい噂…「しか」?』

「ええ。悪い話は聞いた事がない…不自然なほどに」


写真の男が不気味に笑った気がした


「イタリアや周辺の事は詳しいが、香港マフィアとなると情報が限られててな。風に調べてもらったんだぞ」

それでもやっぱり何も出てこねーか…とリボーンが呟く。
由衣はそれを聞いて風に深く頭を下げた


『すみません…わざわざ私の為に…』

「気にしないでください。君の噂を聞いて、会ってみたいと思っていたところでしたから」
 
「由衣ちゃんを守るって決めたのは俺達だからね。何かあれば風だけじゃなく、同盟のファミリー全部集めてでも守るよ」

『沢田さん…』


由衣はキュッと拳を握りしめ、また深々と頭を下げた


ツヅク
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