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□55話目
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「──…っのバカ!!」
ダンッと壁に拳を打ち付ける獄寺の声が、静まり返った食堂に響いた
由衣の部屋は綺麗に片付けられ、誕生日などにそれぞれが贈ったプレゼントもきちんと分けられて置いてあった
しかし、由衣の姿と荷物はどこにもない。
ただ机の上に一通の手紙が残っていただけだった
「なんで…」
「由衣ちゃん…」
呆然とする者もいれば、悲しみを堪えるように唇を噛み締める者もいる。
その中でクロームは顔を青ざめさせ、綱吉の手に握られた手紙を見つめた
「……っ…ごめんなさい、ボス…!」
「……クローム…」
「私が昨日ちゃんと引き留めてれば…ごめんなさい!!」
昨日の由衣との会話を思い出し肩を震わせるクロームに皆の視線が集まる。
今にも泣き出しそうなクロームの肩を骸はそっと抱き寄せた
「落ち着きなさい。君のせいではありませんよクローム」
「骸様…私…私っ…」
「大丈夫…。何も心配する事はありません」
宥めるようにクロームの頭を撫でる。
声を殺し、静かに泣き出したクロームに、京子達も堪えきれず涙を流した
「ツナ…」
「……」
無言で手紙を見つめる綱吉の瞳には、静かな怒りが籠もっていた