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□最終話
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「何故、か…」
さらり
由衣の黒髪を一筋掬う。
その髪に唇を押し付けると、満足げに頷いた
「ふふ…美しい髪だ…」
「……」
「肌も若々しく潤いに満ちている…」
「止めろ!!」
由衣の着物の合わせに手を入れようとする僚堅を止め、鋭い目で睨む
「それ以上やったら…ただじゃ済まさない」
「おやおや、勘違いしないでくれ。子供に手を出そうなんて思ってないさ」
眉を下げ、苦笑する僚堅。
それでも綱吉達の視線が緩む事はない
「私が欲しいのは…この子の知識だ」
「…知識?」
「近頃妙にアルコバレーノの科学者、ヴェルデが新しい薬を発表する。…その理由を辿れば、この子がいた」
「「「!!」」」
「自分の知識とヴェルデの科学技術があれば、地球など一週間で壊滅させられる。……この子が言ったらしいね」
一同の目が驚愕に見開かれる。
由衣がそんな事を言うなどとは信じられない
「……まあこの際言ったか言わないかは問題じゃない。彼女にそれが出来るか出来ないかが、重要なところだ」
「「「……」」」
出来る
口には出さないが、綱吉達はどこか確信めいたものがあった。
誰よりも由衣の薬の実験台にされ、その才能は知っている。
ヴェルデが協力するなら、尚更だ