□最終話
2ページ/7ページ



「何故、か…」

さらり
由衣の黒髪を一筋掬う。
その髪に唇を押し付けると、満足げに頷いた


「ふふ…美しい髪だ…」

「……」

「肌も若々しく潤いに満ちている…」

「止めろ!!」


由衣の着物の合わせに手を入れようとする僚堅を止め、鋭い目で睨む

「それ以上やったら…ただじゃ済まさない」

「おやおや、勘違いしないでくれ。子供に手を出そうなんて思ってないさ」

眉を下げ、苦笑する僚堅。
それでも綱吉達の視線が緩む事はない


「私が欲しいのは…この子の知識だ」

「…知識?」

「近頃妙にアルコバレーノの科学者、ヴェルデが新しい薬を発表する。…その理由を辿れば、この子がいた」

「「「!!」」」

「自分の知識とヴェルデの科学技術があれば、地球など一週間で壊滅させられる。……この子が言ったらしいね」

一同の目が驚愕に見開かれる。
由衣がそんな事を言うなどとは信じられない


「……まあこの際言ったか言わないかは問題じゃない。彼女にそれが出来るか出来ないかが、重要なところだ」

「「「……」」」

出来る

口には出さないが、綱吉達はどこか確信めいたものがあった。
誰よりも由衣の薬の実験台にされ、その才能は知っている。
ヴェルデが協力するなら、尚更だ


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ