財布を持って、靴ひもを結び、鍵を閉めたら、さぁ行こう!



愛の言葉

allen side.


入り口を入って左に曲がり、野菜コーナーを通り過ぎ、お菓子コーナーを横目で気にしながらも素通りし、魚コーナーを右に曲がった通路の隅っこで少年、アレン・ウォーカーは悩んでいた。



(んー…どれにしよう…最近お肉高いしなぁ…)

(…よし!取りあえず牛肉と鶏肉を買って、野菜見に行こっと!)



カートにかごを2つ乗せて押しているが、すでに2つとも大量の食料品でいっぱいである。
そのほとんどが彼の夜食になるのが驚きだ。



(玉ねぎ、ピーマン、人参、キャベツ…こんなものかな?)


その大量の食料品をレジへ持って行くと、レジのお姉さんは僅かに引きつった笑顔で挨拶をする。それでも何も突っ込まず自分の仕事をこなす彼女は将来きっと有望になるだろう。

なんて考えてるうちに会計も済んで後は帰宅するだけ。(荷物はかなりあるけど。)



(…あ、忘れてた…)



今日、最も大切なものを買い忘れるとは…慌ててもう一度戻って、それを購入する。クリームが少ないのは同居してる彼が甘いものを苦手としているからだ。


今日の主役でもある彼は本日大学の講義に出ている。夕方までには帰ると言っていたから、早く帰って準備をしてしまわなくては。











(…暑い!クーラーかけて行けばよかった…)

閉め切ったまま出て来た部屋の中は風が吹く外よりも格段に暑い。急いでクーラーを付けて一休みする。



程良く涼しくなったところで作業開始。壊れやすい、箱に入ったものをそっと冷蔵庫に入れてお肉、野菜を切っていく。サラダを付ければ完成!



机にきれいに並べながら、ふと壁に掛かったカレンダーが目に入る。シンプルなカレンダーの中、一カ所だけ赤ペンで丸く縁取られている。


もうすぐ帰ってくるであろう、朱色の髪をした彼の驚く顔とその後に見れるだろう、暖かい笑顔が待ちきれなくて、そわそわしている。



(…っ!メール!)


点滅して着信を知らせている携帯を掴んで受信ボックスを開ける。急いで送ったであろう、彼のそっけない一言メール。


『もうちょいで着くから。』


さぁ、玄関まで走ってスタンバイ。溢れんばかりの笑顔と共に貴方に伝える、愛の言葉。



「ラビ、お誕生日おめでとう!ずっと愛してる!」











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