拾った仔猫はまだ、華奢で。女でも長身の部類に入るあたしが担ぎ上げるのは簡単な事だった。

でもね。
姫抱きしたのは内緒。だって、男のきょう持に関わるもの。


寝室に運びベッドに寝かせ、濡れた服を全部剥ぎ取ると、綺麗に付いたしなやかな筋肉が現れて。
綺麗な少年とイメージが合わず驚いた。

何をされても少年はピクリともせずに荒い息を付いている。

再度、深い傷や打撲の跡がない事を確かめて。体温計を挟んで、毛布で体を包む。


しばらくすると


ピピピ


体温計の測定完了を知らせる音がした。

「うわ〜39度超え〜」
どのぐらい雨に打たれてへばっていたのか。熱冷ましと栄養剤を打ってあげた方が良いかもしれない。
肺炎でも併発されたら大変だ。

立ち上がろうとした瞬間。服を掴まれた。
「……か…さん」
薄い唇が言葉をつむぐ。聞こえなくて顔を近付けると、閉ざされていた瞳がそろそろと開かれる。

見事な

だった。

「…かぁさん」

綺麗な輝きに見とれるあたしを再度の少年の囁きが引き戻す。

どうやら、あたしを母親と勘違いしているみたいだ。
熱で意識が朦朧としていて、ボンヤリと焦点が合っていない。

あたしは安心させるようにやんわりと微笑み

「大丈夫よ。冬獅郎」

と囁く。

少年は安心したのか、深い眠りに落ちた。

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