「はいあーーん」
あたし特製の栄養満点の玉子粥。親鳥が雛鳥に餌をあげるよに、スプーンであげるのに。
あらあら。
照れちゃって!可愛いいのね。
「1人で食える」
真っ赤になって、そっぽを向く冬獅郎君。
さっきまで、警戒心むき出しだったのに(苦笑)
松本乱菊
の名前は、ちょっと無敵みたい。
名前だけ一人歩きされては困るけど。
「………さっきは、すまなかった。家の者が世話になって…俺まで迷惑かけちまったのに」
「いえ。貴方の立場ならあたしだって、警戒します。素性の知らない女の部屋に居たら」
男を言いくるめるなんて。簡単なのに。
貴方の翠の瞳は反則ね。
心の内を…全てを……覗かれる気がする。
「……それに、や…」
「どうした?」
日番谷やちる。
咄嗟に飲み込んだ、この子の父親の名前。
あたしは一方ならず世話になった。
でも。
だから?
少年はあの人ではない。あの、豪傑と近しい雰囲気は纏っていても彼は
彼なのだ。
フルリ
頭を軽く振って
冷めないうちにどうぞ。そう言って、お茶を入れにキッチンに向かった。
どうやらあたしは。
この少年を気に入ってしまったらしい。