short story
□アイカタチ
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ざわざわとざわめきの起こる道路。そこに転がっているのは使い古された黒いランドセル。
トラックはガードレールにぶつかり停止、その前方は何かにぶつかったかのように凹んでいた。
「やだ・・・和也、和也っ!!」
そこには今にも泣き出しそうな女の子がいた。
その女の子は和也と呼んだ、幼馴染で同級生の男の子に近づこうとするも、大人の手にそれは制される。近づきたくとも、近づけなかった。子供の力ではどうしようもない。
「和也っ」
名前を呼ばれても反応を示さない男の子。意識を失っているのか、息すら絶えてしまったのか、ぴくりとも動かない。
彼がトラックと衝突でもしたのだろう・・・。横たわる男の子の周りには血溜まりができている。
そしてそれは頭の傷よりも、脚の傷の方が痛々しげに映った。
「和也ぁぁぁっ!!」
涙を両目いっぱいに浮かべて、泣き叫ぶ女の子。その高い声だけが、野次馬のようにざわざわとたつ音の中響く。
遠くからサイレンを鳴らす、救急車。人垣を掻きわけて、それはようやく到着した。