short story

□天使と堕天使と悪魔
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 その昔、天界と魔界は繋がっていた。だが互いの神々の長きに渡る対立により、現在その道は固く閉ざされている。

 だから天界に住む天使が魔界に赴いたり、逆に魔界に住む悪魔が天界に赴くことは、できないのだ。

 しかし、いくら【道は閉ざされた】と言っても、亀裂は生じる。

 稀に起こる亀裂に足を踏み入れた天使は、魔界に落ちてしまうことがあるのだ。そして今日も、その亀裂に気付かず足を踏み入れてしまった天使がいた。



「うわあぁぁぁぁぁぁっ」

 それはあまりにも突然で、本来は飛ぶのに用いるはずの真白な翼も、全くの役に立たない。木々の間を抜け身体をひっかき傷だらけにし、地面どすんという衝撃とともにたどり着けば、その天使の落下はようやく終わりを告げる。

「・・・いって・・・・・。ちくしょう、口切った」

 魔界へと落ちてしまった天使の名前は、エルウィット=アリアス=ラノール。この長ったらしい主人公役を担う彼のことは、ここでは今後エルと呼ぼう(Σ)。

 とりあえず理由などの云々はさておき、エルが魔界へと落ちたことから、この物語は始まる。


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