「看板息子も決まったし、今日は商品決めだよー」

俺が山ちゃんの餌食になった次の日、また山ちゃんが変なことを言い出した

てか、まだ商品決まってなかったのかよ

「主な商品はもちろんなんだけど、なんかオリジナル商品出したいんだよね」


あーまた面倒な予感

「なんか、いい案ある人ー?」
山ちゃんの言葉に一人だけ手を挙げた

準太ナイス!
流石我らがエース!!
そして、ちゃっちゃと終わらせて!切実に

「一日分の栄養をバランス良く取れるボリューム満点弁当なんてどうっすか!?」

…あれ、あいつがまともな事言ってる
(本当は、期待していなかったからさ)


「準さん、それいいね!」
利央がキラキラとした目で言う

「だろ?で、商品名なんすけど…名付けて!!和さんスペシャル!!!」

両手を顔に覆い被せて、恥じらう気持悪いエース
何故か周りからはハートやら、花やらが乱れ飛んでいる
やっぱり、あいつはあいつだよ

「おいおい、準太〜名前関係ないだろー」

少し苦笑いをして言う主将
そんなこと言いながら、主将の周りからもなにか乱れ飛んでいる

やるなら、よそでやってくれ、メオトよ


でも、今日は巻き込まれないと誓っている俺は何も言わない


「そんなことないっす!和さんは何時も俺のこと気遣って、色々なバランスみてくれるじゃないっすか!それに、俺に対してボリューム満点の愛をくれるし!!」


もうあいつ終わってるよ
意味わかんねーもん



山ちゃんも二人が自分達の世界に入ったので、二人をまとめてスルーした

「和さんスペシャルは、保留だね。じゃ、次は…まさやんなにかあるー?」


まさやん!?
意外だな、まさやんに絡むなんて
当の本人は特に気にすることなく、真面目に考えている
少しの間があって、まさやんは答えた

「和さんスペシャルの後に食べるデザートはどうだ。プリンに生クリーム、バナナから苺、アイスも乗せて。名付けて……迅たんスペシャルアラモード」



……え?
どうしたの、まさやん…?

いや、いっぱい突っ込みたいことはあるけど…
やっぱり、一番は「迅たん」呼び
山ちゃんに弱味でも握られてるの?
動揺を隠せない俺をよそに

「いいっすね、それ」

え?
タケまで…?
俺、二人は信じてたのに


もうわけわかんなくなって、迅を見れば、迅が真っ赤になっている

「迅たんっすか…」

ちょっともじもじしつつも、顔は嬉しそう
最後の砦がーー!!
崩れた…
真面目で純粋で、可愛くて…
そんな迅が「たん」呼びにときめいてる…
いや、まさやんパワーなのか!?


「それ採用〜!」

山ちゃんが楽しそうに拍手をする

あれ?
思ったより…早く終りそうじゃね!?
ナ…ナイス!まさやん!!
(それと引き替えに大切な何かは失った気がする)


「そうか、良かった」

何故かまさやんは、すごく満足そうである…

「それ早速商品化したら、慎吾。」

帰れる、今日は何事もなく帰れる…って思ってたのに、ここにきて…

山ちゃんの方を向けばにこやかに言った


「例のコスプレして、迅たんスペシャルアラモードの宣伝ね!あ、店頭で☆」


え、店頭…?
それなに?
さらしくびならぬ、さらし何?

「じゃ、まずは宣伝の練習。もとやん!」

山ちゃんがパチン!指を鳴らせば、もとやんがアイアイサーとばかりにコスプレで現れた
何故か胡散臭い笑顔付きで

「いらっしゃいませ、お嬢様。新商品、迅たんスペシャルアラモードはいかがですか?オリジナル商品ですから、ここでしか購入できませんよ?」


何故彼はあんなにノリノリなの?
なんで、キラキラオーラをばらまいてるの?
むしろ、彼がすればいいんじゃ…


「はい、慎吾!」

ニコニコしたもとやんが言う


「え、いらっしゃいませ、お嬢様…」


「だめだめ!もっとお嬢様の部分はキラキラして!」

いや、キラキラってなんだよ

きっと心の声が聞こえたのか、山ちゃんが言った
「まさやん!慎吾にキラキラのお手本見せてあげて!」

えー!!
そんな無茶ぶりやって…

「いらっしゃいませ、お嬢様」

まさやんは、ちゃんとみぶり手振りまでやっていた
そして、ものすごくキラキラしていた

「かっこいー…」
そんなまさやんにみとれる後輩二人

まさやんは、「ほら」と俺をみた

…まさやんがあそこまでしたんだ、俺もちゃんとしなきゃいけない気がした


ちゃんと心を込めました
なのに、何故か…
「おい、慎吾。お嬢様は自分にとって、なくてはならないお方だ。そんなお嬢様に、ものをおすすめさせて頂くんだ。もっとハートを込めろ」

久しぶりにこんな長々と喋っているまさやんを見た
なのにさ、それ?
そして、なんでそんなノリノリ?
てか、まさやんにはお嬢様がいるの?

…もう疲れた
やればいいんでしょ


「よし」
「慎吾、いいね!」
「うんうん」

まさやん、山ちゃん、もとやんにOKをもらって、何故かガッツポーズをしてしまった俺…

自己嫌悪…


「はーい、今日は解散〜」

山ちゃんの言葉で皆が帰っていく

そして、何故か山ちゃんともとやんはイチャつき出す
なんだか、あのコスプレがとても似合っていてかっこいいんだって

もとやんも普通に喜んでるし


俺も帰ろうとした時、まさやんがこっちに来て一言

「お疲れ、慎吾。宣伝頑張れよ。じゃーな」

誰が見ても、ときめいてしまうような笑顔を見せてまさやんは帰ってしまった


…俺も帰ろう…
何故か凄く疲れた俺は寒空の下、ポッカリと穴のあいてしまった心を連れて帰った




へへへ
何故かまさやんメインでキャラ崩壊(笑)

まさやんは、準太があんな風に言ったから、部員からもじらなきゃいけないと思って、言いました(笑)
もちろん、タケもいいと思ったから言った(笑)

色々突っ込みどころ満載ですが、慎吾さんも疲れちゃってるんです
大目にみてあげてください(笑)


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