「山ちゃん!!!!!」
すごい形相をした慎吾が4組の扉を開けながら、山ちゃんの名を呼んだ
当の山ちゃんときたら、待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべて、慎吾がこちらに来たと同時に消した
クラスの女子は突然の慎吾の登場にキャーキャー言っている
くそ、なんであいつモテるんだろう
まぁ、今日の慎吾はそれどころじゃないらしく、山ちゃんの元へきた途端に山ちゃんを睨みつけた
あれ?
なかなかおおごと?
「迅に何教えた!?」
今にも胸ぐらを掴みそうな勢いの慎吾
それと対照的にいつも通りの山ちゃん
「何って?まんまだよ」
いつもの何を考えているのか(大抵は良からぬことだけど)わからない笑みを浮かべて言う
「まんまだぁ!?迅に変なこと教えてんなよ!」
あ、なるほど
山ちゃんがまた迅に変なこと叩き込んだんだ
で、慎吾の元に送ったわけね
どうせ手を繋ぎませんかとか言われたんだ、慎吾
いつもの景色といえばいつもの景色なので、のんびりと見学していた
「本やんも言ってやってくれ!こいつ迅に!!あの純白の迅に!!!!」
慎吾が急に俺に話を振ってきた
「手を繋げとか言われたの?迅に」
慎吾が今度は俺を睨みつけて言った
「んな生温いもんじゃねーんだよ!ヤりませんか?って言われたんだよ!」
ヤる!?
思いもよらない展開に俺は咳き込んだ
で、慎吾の話を簡単にまとめるとこうだ
部活が終わって部室で着替えていた時、真っ赤になった迅が近づいてきた
「どうした?」と話かけると、もじもじとした後に、「ヤりませんか?」ととても可愛らしく言われたのだそうだ
詳しく話を聞くと「山さんに教えてもらったから、俺が自分で言おうと思って言いました」と言われたらしい
それは間違いなく山ちゃんに洗脳されているに決まっている
一連の話を聞いて俺は山ちゃんをみた
「なに、本やんまでそんな目で」
「何って迅はダメだよ!」
今回ばかりは、山ちゃんが悪い
迅はダメ!
あんなに純白で綺麗な可愛らしい迅にそんな変なこと教えて!!
「ほらみろ!」
慎吾が勝ち誇った顔で言った
「ほらって、俺は慎吾のこと思って言ったんだよ?」
「何が俺の為だ!ただ面白がってだろ」
俺は頷く
「あ、本やんまで〜」
納得いかないという顔をした山ちゃんが説明を始めた
「いい?二人をみてるとじれったくて堪らないんだよ。慎吾も迅のこととなると急に乙女チックになって気持悪いし。だから、少しでも発展すればいいと思って迅に言ったんだよ?」
おいおい
それっぽく言うな〜山ちゃん
それじゃ、流石に慎吾も騙されないよ
って思って慎吾を見ると、体をフルフルと震わせている
あーあ
また山ちゃん怒鳴られちゃうって思ったのに、慎吾の口から出た言葉は
「山ちゃん、ありがとう…!」
という、馬鹿極まりない言葉だった
「何言ってるの、慎吾。俺達仲間でしょ?」
「山ちゃん…!」
なんだか、急に山ちゃんがいい人で、男の熱い友情みたいになってしまった
うん、まぁ
慎吾も伊達に2年と少し、山ちゃんの標的になってるだけないよね
阿呆だよ、あいつ
もう憐れだとも思えないんだけど
もう少しで授業が始まるからと慎吾は教室を出て行った
満面の笑みで
慎吾is馬鹿\(^o^)/
山ちゃんは、間違いなくネタにする
迅は、間違いなく洗脳される
慎吾さんは、馬鹿
だって、きっと怒鳴り込んでくるわりに、ヤりませんか?って言った迅にキュンキュンしちゃってるに違いないよ
やっぱり、いやら慎吾!