P a r a l l e l

□恋バナv蒼
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おまけ




俺は数週間前、哉達とスライディングで誰が一番格好良く決めれるかとか言うマジでくだらない遊びをして負けた俺は罰ゲームで「渦槙先生禁止令」を出された。
それも期間は1ヵ月。
それはもう絶望的だった。
1ヵ月も先生に手を出せないなんて俺にとっては地獄同然。
渦槙先生の可愛さに何れだけ理性がブチ切れそうになった事か。
今だって折角二人きりの教室で俺の真横に居るのに何も出来無い。
先生はそんな俺の事情を知らないから、素っ気無い態度の俺に唸りながら頬を膨らませて居る。
こんな可愛い大人なんて見た事無いぜ。
つい手を出してしまいそうになるのを堪えて小説に集中する。


「鎖介…。」

「……何?」


訊き返した俺に返事は無い。
駄目だ。
そろそろ先生が拗ねる。
そう思ったのと同時に「莫迦」と言う言葉が帰って来た。
暫くしてから溜息を吐き、完全に拗ねてしまった渦槙先生に顔を向けた。


「先生?」

「………。」


何も言わなくなってしまった渦槙先生を覗き込むと眠って居た。
小さな寝息を立てながら俺の肩に凭れて眠る先生。
無防備過ぎる可愛い寝顔の渦槙先生はもう俺にとっては地雷だ。
ヤバイ、見てたら駄目だ。
そう思って小説に視線を戻すと、渦槙先生が俺の名前を呼ぶ。
この年にして寝言かょ!?
マジ有り得ねぇ!!
内なる俺はもう暴走寸前だ。


「鎖、介…も……俺、嫌い?」

「先生?」

「…キス……て、欲し……てば。」


寝言を言いながら瞼に溜まった先生の涙が溢れ落ちる。
もしかして俺の所為で不安になって…?
そう考えると渦槙先生に申し訳無くて、先生の瞼をそっと撫でた。


「ごめん、ちゃんと好きだょ。」


眠って居る先生に一つ口付けて、俺は小説を鞄にしまうと渦槙先生を抱き締めた。
罰ゲームなんか止めだ。
先生を不安にさせてしまった自分が情けない。
起きたらこの数週間分先生の望むキスをしようか。
クスリと笑って先生の瞼に口付けると立ち上がった。
御詫びに渦槙先生の好きな温かいミルクティーでもあげようかな、なんて。


「マジで俺救えねぇ渦槙先生依存症だな。」


自分の言葉に笑いながら俺は教室を出て廊下を走った。




―end――…





 
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