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□秘密の関係
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秘密の関係




「先生、成斗先生。」


放課後、一人の生徒が英語教師の元へ駆け寄った。
肩に掛けている通学バッグが揺れる。
成斗と呼ばれた教師は振り返って駆けて来た生徒を見やった。


「どうした、内波?」


自分より頭一つ分は背の高い生徒…内波は息を切らしながらも綺麗な笑みを作っている。
今更ながら、成斗はこの笑みに見惚れた。


「先生、今は二人きりなんだし『鎖介』で良いだろ?なぁ…成斗。」


そう言って成斗の顎を軽く持ち上げる。
そして唇を近付けた。
だがそれは唇の間の距離が後1cm弱の処で止められる。


「何…?」

「鎖介止まらなくなるからこんな廊下じゃまずいってばょ。///」


夕日が廊下の窓ごしに射し込む中、羞恥で頬を赤らめた成斗が言った。
成斗の言葉に鎖介は渋々手を引っ込めた。
けれども左手はきっちり成斗の右手を掴んだ儘で…
高校生とは言えこう言う処は未だ子供なんだなと成斗はなんだか微笑ましく笑ってしまった。
一月前、鎖介からの急な告白から誰にも秘密の関係が始まって
二人はこっそりと愛を育んでいる訳なのだが。
やっぱり男同士で生徒と教師と言う禁断な壁がある所為で普通の恋人達の様に簡単にこう言う事をするのは許されない。
その上仕事が二人の愛の障害になってしまう。
成斗はこの事に対して鎖介に非常に申し訳なく思っているけれど、鎖介に甘えてしまうのは何故なのか…


「ごめんね?」


何時も我儘な自分に付き合わせてしまって。
それでも愛してるのに変わりは無いから。


「成斗…?」


成斗は鎖介にそっとキスをした。
もう鎖介が居ないと駄目になってしまった程に愛してるから。
我儘な大人に付き合わせてしまってごめん。
でも貴方が大人になる迄我慢して?


「仕事、直ぐ終わらせるから…待っててくれるってば?」

「あぁ…、当たり前だろ?何時迄だって待ってやるょ。」


鎖介は額に軽くキスを落とすと成斗の手を放した。




―end――…





 
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