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□新人☆オフィスウォーカー
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新人☆オフィスウォーカー




ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
マジでヤベェってばょーッ!!ι


午前8時40分、
春風が吹き行く街中を、一人の会社員が駆け抜ける。
右手にファイルを抱え、左手に黒い手提げ鞄。
未だ着慣れていない黒いスーツで身を纏い、金の髪には近くの学校から飛んで来たのか桜色の花ビラが絡まり風になびかれる。


最悪だってばょ!
こんな事になるなら昨日の内に目覚まし時計の電池交換しとくんだった…。
兎に角、新入初日から遅刻なんて婆ちゃ……じゃなくて社長に殺される〜!!ι


そんな彼、渦槙成斗はついこの間大学を卒業したばかりの22歳。
今日から親戚のやっている会社で働く事になったのだが。
そんな日に限って頼りの目覚まし時計は夜中の時刻で時を刻み終え
案の定寝坊してしまった成斗は、家から休む事無く爆走中。

高校時代バスケ部で足を鍛えておいて良かったなぁ、等と呑気な事を思いつつ周囲に目をくれる余裕もなく唯々走り続けていれば。


ドン!!


「ぉわっ!!?ι」

「いってぇー…。ι じゃなくてすみませんってばょ!!」


走る事に夢中になり過ぎて、目の前に人が居るのに気付かずぶつかってしまった成斗は、反動で後ろに痩けてしまい、
手に持っていたファイルから大量の資料をばら撒いた。

唯でさえ時間が無いのに、更に余計なヘマをする自分に苛つきながら散らばった資料を掻き集めていると
誰かの手が加わった。


「え……?」


少し驚いて見上げてみると其処にはぶつかってしまった人なのか
黒い紳士服を纏った男の姿があった。





 
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