P a r a l l e l

□義兄弟な僕等。
1ページ/3ページ





義兄弟な僕等。




あの日、互いの親の結婚と言う言葉が突然兄と弟と言う関係を作ってしまってから約3ヵ月。
家庭内の雰囲気は当初のぎこちなさがまるで嘘であるかの様に家族と言う名が様になっている。

あの頃は夢を見ている様な気さえしていたのに、時は止まる事無く流れ続け、今の生活は当たり前と化している。


「ご馳走様。」


鎖介は夕食を食べ終えると、食器を持って席を立った。
新しい母親、静音の作るご飯は今迄忘れていた小さい頃食べていた母親の料理を思い出させてくれる。
つい最近迄自分で炊事をしていたが、こう言うのも悪くない。


「あ、鎖介兄ちゃん待ってってばょ!」


鎖介がながしに食器を置くのとほぼ同時、弟の成斗が夕食を置いて立ち上がった。
急いで食べたのか、服や口元にご飯粒が付いている。


「そんなに急がなくても良いだろ?俺、風呂に入って来る。」

「俺も入る!」

「お前は後!」


そう言い聞かせて部屋を出ようとした時、父親の夏架志が何処か面白そうに笑いながら、一緒に入れば良いのに…と続ける。


冗談じゃない、幾等男同士だからって成斗とは歳の差があり過ぎる。
年頃の俺の事も少しは考えろ。


眉に少し皺を寄せると、そんな兄の様子を悟ったのか弟は軽く唇を尖らせて俯いた。


「鎖介君、今日だけで良いから成斗君と入って貰えないかなぁ?」

「え、でも……」

「ね、お願い。たまには兄弟で入るお風呂も良いと思うゎ。」


静音に言われると少し困る。
幾等ぎこちなさが無くなったとはいえ、未だこう言う面では他人行事になってしまう…


「鎖介兄ちゃん、入ろってばょ!」


自分と入りたいと駄々を練る成斗に、鎖介の気持ちは揺らいだ。
別に其処迄嫌な訳でも無い。


……まぁ良いか。
先に入れて俺は後でゆっくりつかろう。


鎖介は軽く溜息を吐いた後、笑みを浮かべた。





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ