P a r a l l e l

□Forbidden kiss.
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Forbidden kiss.




それは突然の出来事で、耳を疑った。
兄貴の成斗が大学に受かった事は知ってる。
でも、成斗が上京するなんて…家(ここ)から出て行くなんて知らなかった。


「あ、鎖介?どう?結構片付いたかな?笑」


コイツの笑顔がもう見れなくなる、そんな事耐えられる筈が無くて。
俺はずっと成斗が傍に居てくれるんだと信じて疑わなかった。


「成斗…。」


毒舌で暴力的、タバコも吸ってる俺に対して真面目で明るいたった一人の兄貴。
俺が初めて好きになった奴…


「成斗、どうして…何で家を出て行く事俺に黙ってたんだょ?何時から決めてた!?言えょ!!」


俺は成斗の両肩を掴んで言葉を吐き捨てた。
俺の言葉に戸惑った様に成斗が目を反らして黙り込む。
俺とは真逆の金髪碧眼。
白い肌に紅い唇。
その全てが愛しいとさえ思う。
成斗にだけは心を開けた。


「…ごめんね、鎖介にはどうしても言えなかった。本当は何も言わない儘出て行くつもりだったんだってばょ。」

「何でだょ!?俺はお前が家から居なくなったら…っ!!」

「…鎖介?」


成斗が顔を上げた時キラリと光ったシルバーのネックレス。
俺が誕生日にあげたヤツだった。
成斗の為に選んで、「要らなくなったから」って嘘をついて…


「行くなょお…!」


俺は自分より小柄な成斗の躯を抱き寄せた。
好きで、好きで仕方が無い。
大切な光が居なくなったら俺はどうすれば良い?
兄弟で同性だからなんて、俺には関係無い。
俺は成斗が好きだ。


「…鎖介、痛いってば。放して?」

「煩い。」


絶対に放したくない。
俺は抱き締める腕に力を込めた。
トクトクと速く脈打つ成斗の鼓動が伝わる。
それさえも愛しく思う。
どうすれば伝わる?
俺は腕をほどいて、段ボールだらけの何も無い殺風景な部屋から俺の部屋に成斗の手首を掴んで引っ張った。
俺の部屋は成斗の部屋と違って乱雑で散らかり放題。
足場の無い足場を通って俺は成斗を自分のベッドに突き飛ばした。





 
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