U n d e r
□俺の夏は蒼空。
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俺の夏は蒼空。
[サスケB.D☆小説]
7月22日、俺が正門へ行くと何時もの様に幼馴染みの渦槙成斗が俺を待っていた。
成斗は俺より一つ年下で今年高校に入学したばかりだ。
俺と同じ高校に通いたいからと脳のない頭なりに必死で勉強したらしく、レベルもそこそこの県立高に受かった時は嬉しさの余りか俺に抱き付いて喜んでいた。
俺も成斗が自分と同じ高校に入学した時は死ぬ程嬉しかった。
成斗の事が好きだったからだ。
これから毎日中学の時の様に一緒に登校して下校が出来ると思うと俺の心は浮かれた。
けれどそんな事を思っているなんて知られたら成斗ともう一緒に居られなくなりそうで、俺は何時も平然を装った。
成斗には全然気がないフリをした。
それでも毎日俺に突っ掛かって、きっと誰よりも成斗に親しまれて俺は幸せだった。
今日も何時も通りポーカーフェイスで成斗の処に行った。
「鎖介!遅せーってばょ!!」
俺を見て文句を言いながらも親し気に俺の腕に成斗が絡み付く。
何時もの事ながら俺はそれだけでドキドキした。
「悪ぃな…。」
成斗にだけ見せる俺の笑顔でそう言う。
成斗はにっこりと笑って「良いってばょ」と言った。
何処か何時もよりそわそわしている。
何か嬉しい事でもあったのだろうか?
訊く前に成斗から話を切り出す。
「ねぇ、今日鎖介ん家止まって良いってばょ?」
予想を越えた言葉に一瞬驚く俺。
びっくりして成斗を見ると成斗の大きくてぱちりと開かれた蒼い瞳が真っ直ぐ俺を見ている。
慌てて成斗から目を反らした。
「何で? あ、もしかして課題手伝えってか?」
「それもあるけど、良いだろ?明日から夏休みだってば。それに―――…」
「何だ?」
成斗は言葉を詰まらせて俯いた。
頬が紅く染まっている様な気がしたが多分この日照りの暑さの所為だろう。
また成斗が顔を上げる。
「何だって良いってばょ。兎に角俺お前ん家泊まるってば、良いだろ?」
今日は母さんも父さんも居ない、と言うか何時も居ないが。
それに成斗が何故だか知らないがこんなに家に泊まりたがっている。
別に断る理由もない。
「分かった、分かった。泊まって良いぞ。」
返事を急かして来る成斗にそう言うと、成斗は本当に嬉しそうに笑った。
「よっしゃ!鎖介大好きだってばょ!!」
何気ない一言に顔が熱くなるのを感じた。
バレない様に顔を背ける。
「さっさと帰るぞ。」
俺は未だ腕に絡み付いた儘の成斗を連れて帰路についた。