U n d e r

□黒の詩。
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黒の詩。




俺は黒の塊。
親友の事を応援しながら俺はアイツが好き。
アイツの彼女も俺の親友。
昔は大好きだった。
とても、とても。
でも今は大嫌い。
死ねば良い、あの女が居るから
アイツは、アイツは
俺のモノじゃない。


「ナルトー!」


携帯を握り締めて居ると、親友のサクラちゃんの声が聞こえた。
俺は、何時も通り顔を上げる。
そして何時も通り見る光景。
親友のサスケが隣に並んで手を繋いで居る。
とても幸せそうな二人。
死ねば良い。
消えろ。
憎しみを持った心で彼女を見つめる。
サスケを連れ戻したのは俺だ。
俺はサクラちゃんが大好きだった。
だから彼女の想い人のサスケを命懸けで、
必死になって連れ戻した。
此で良かった。
終わりな筈だった。
でも気付いてしまった。
俺の彼女に対する想いは冷めて居た。
代わりに彼女の好きなアイツを好きになってた事に。
それを気付いたのはコイツ等が付き合い始めてから。















あの日、サクラちゃんの気持ちを知って居た俺はアイツにそれとなく想いを訊いた。


「お前、サクラちゃん好き?笑」


彼女の想いは報われる筈がないと、
思って居た。
だから笑って訊いた。
莫迦な俺はサクラちゃんを好きだと未だ信じて疑わなかったから。
俺が彼女を幸せにしたかったから。
でも、それは一瞬で散った。
アイツは僅かに頬を染めて
頷いた。
でも俺は未だ気付かない。
サスケにならサクラちゃんをあげても良いと
思った。
幸せにしてあげてくれるだろうと思って、彼女の気持ちを伝えてやった。
間違ってないと思っていた。
だけど本当は
間違っていた…。

御目出度く付き合い始めた二人。
祝福した俺。
素直に祝ってやった。
此で良かったんだ。
そう思いたかったのかも知れない。
でも、アイツ等の口付けを偶々見てしまって
俺は
彼女を
…―――怨んだ。
今迄の人に対する憎しみとは違う、闇の憎しみ。
怒り、殺意。
莫迦な俺はやっと気付いた。
俺は彼女の大切な男を
愛してしまって居た事を。
彼女の為じゃなく
俺の為にサスケを命懸けで連れ帰った事を。

気付いてからは毎日苦しんだ、涙を流した。
アイツ等を囃しながら
俺はアイツ等の仲を引き裂いてやろうと思った。
殺せば良い。
あの邪魔な女を消せば良い。
俺の為にブチ壊してやれば良い。





 
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