U n d e r

□永久に誓う君の愛。
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永久に誓う君の愛。




俺は今年高校3年と言う大事な時期のクラスを持った。
教員生活5年。
まぁそろそろ受験、進学シーズンを迎える3年を担当するとは思って居た。
俺はクラス全員が卒業して、社会に出て欲しい。
だから少々厳しくもしたけど、皆根は良い子ばかりで社会に飛び立っても俺はコイツ等を誇りに持てる。
そう思って居た。

推薦受験前のHRで、俺は学校推薦で大学に進学希望の奴等の進路相談をして居た。


「次、渦槙呼んで。」


今進路の事を話して居た生徒に次の生徒を呼ぶ様に指示する。
俺は渦槙成斗の此迄の成績を見た。
英語と国語、社会の科目はズバ抜けに良いのに、化学と俺の持って居る数学はてんで駄目。
まぁ文系に行くなら大丈夫か?


「オッス!来たってばょうっちん!!笑」


無邪気な渦槙らしい高い声が聞こえて資料から目を上げる。
俺と対になって机を挟んでいる椅子に座る渦槙。
渦槙はクラスのムードメーカーで少し抜けてるけど努力家な良い生徒。


「『うっちん』じゃなくて『内波先生』と呼べと何度言えば分かるんだウスラトンカチ。」


渦槙の額にデコピンする。
『うっちん』とかふざけたニックネームを最初に呼び出したのは渦槙で、それが切っ掛けで俺のクラスの奴等数人がそんな名前で俺を呼んで居る。
溜息を吐きながら渦槙自身に此迄の成績を見せた。


「お前、大学行くんだろ?理数系は絶対無理だな。文系にしとけょ?」


指でグラフを差しながら告げると渦槙はニコリと微笑んだ。


「初めっからそのつもりだってばょ!」


何か夢を持って居る様な眼差し。
夢を叶える為に大学に行こうと思って居るのか?


「お前もし大学受かって卒業したらどうすんの?」


名簿に「文系」の文字を入れながら訊く。
俺の質問に返って来た渦槙からは想像も出来ない言葉に「熱でもあるんじゃないか?」と額に触れる。


「だからっ、俺…通訳士になりたいんだってばょ!」

「………。」


ニコニコと笑いながら夢を諦めない瞳。
凄く輝いて見えた。


「本気か?」

「おう!!」


渦槙の返事を聞いて俺は微笑んだ。
コイツなら大丈夫、可能性がある。
夢を叶えられると思った。





 
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