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□隠れんぼ
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隠れんぼ
「はーい、今日は隠れんぼ演習す〜るょ。」
真夏の暑い日差しの下で、何処かのんびりとした声が響き渡る。
「え〜っ!やだってばょ、隠れんぼ何かアカデミーの頃にしたってば!!」
頬を膨らませて何時もの様に文句を言うナルトに、やはり何時もの様にサクラが怒鳴り付ける。
サスケは何も言わず二人を見つめる、と言うより正確にはナルトを見ているらしい。
本当に面白いチームだ事。
その微笑ましい光景にカカシは笑みを浮かべた。
「其じゃあ、今日の一番最初に見付かった人への罰ゲームは、その場で『先生大好き』って抱き付いて言うコト〜。」
「「えぇ〜〜〜!?ι」」
見事にハモるサクラとナルトの声。
サスケも顔をしかめていて嫌そうなのが一目瞭然。
冷たい反応だなぁと思いつつも、カカシは話を続ける。
「よ〜し、其じゃ100秒後に探しに行くからね。ルールは何時も通り、始め。」
そう言い終わった途端、三人は森の中へ消えた。
カカシはふぅ、と軽く溜息を吐いて自分の愛読書を読み始めた。
「…98、99、100と……。もうみんな隠れたかな?」
暫くして部下達の気配が消えたのを確認し、カカシは手に持っていた本をポーチの中に入れると森の中へ歩を進ませた。
大樹の太い幹の上、一人の少女が身を潜めていた。
カカシ先生ったら何考えてんのょ?
あれって一種のセクハラよね。
小さく溜息を吐き座り直す。
その振動で桃色の髪が揺れた。
「ハイ!サクラ見っけ〜!!」
「Σカカシ先生!?ι」
声がした方を向いてみれば其処には微笑みを浮かべたカカシの姿。
「……先生、私2番目でしょ?ナルトは罰ゲームしたの?」
「ううん、サクラが1番。ナルトはまだ見付かってな〜いょ。笑」
「って事は……?ι」
「うん。サクラが罰ゲームするんだょ。」
楽しそうに笑うカカシ。
ナルトが居ないのを見ると、やはり自分が1番らしい。
「分かったわょ!やるわょセクハラ教師!!」
「ん〜、セクハラはないでしょ?ι」
「良いの!」
カカシ先生の肩に腕を回して『先生大好き』って言うだけ…。
其だけなら…。
サクラはゆっくりとカカシの背に腕を回して
「先生、大好き。」
「俺もサクラ大好き。」
「…本気で言ってるの?」
「内緒。」
「もう良いわょ!!」
自分は今年のルーキーがアカデミーの頃から好きで…。
これからもずっとそうだって思ってる。
だけど今凄くドキドキしてる……。
此ってやっぱり先生に対して?
だとしたら私は…
カカシは立ち上がってサクラを見下ろした。
「さて、ナルトとサスケを探しに行きますか!」
「行ってらっしゃい。」
「な〜に言ってるの、サクラも行くょ!!」
カカシはサクラの手を引っ張った。
子供みたいに少し無邪気な様子が可愛く見えて自然と頬が緩む。
やっぱりそうなのかも知れ無い。
悔しいけどね。
「ほら、カカシ先生!ナルトとサスケ君探しに行くょ!!」
先程とは逆にサクラはカカシの手を引っ張り、青空の下、走りだした。
―end――…