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□桜の花ビラ
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桜の花ビラ




サスケ君が里を抜けて3度目の春を迎えた。
ナルトはカカシ先生やヤマト隊長と修業してるらしくて、
何時も頭の中はサスケ君で一杯みたい。

私と言えば何もせずに唯外を散歩してるだけ…
アカデミーの前を通ると、春と言う事を示す桃色の花ビラが舞っていた。


「……きれぃ。」


私と同じ名前の大きな桜の木。
春が廻る度に綺麗な花を咲かせているのに
私は―――…


「あれ、サクラ…?」

「サイ…? ふふ、奇遇ね、こんな処で会うなんて。」


振り向くと其処にはスケッチブックを片手に持ったサイが居た。
今のサイの笑みは昔と違って作りモノじゃ無いと思う。
私は何時の間にか自分の口が弧を作っているのを感じた。


「こんな処で何してたの?」

「僕は今この木を描いていました。時々こうやって風景を描いたりしてるんだ。 サクラは?」

「私は………散歩かな?」


一瞬自分でも何してるのか分からなかった。
ナルトは今も必死で頑張っているのに、カカシ先生もヤマト隊長も…
サイだってきっと努力してる。

けど私は?
私はナルトに頼んでるだけで何もしてない。
その癖に皆に偉そうに言って、、
本当何してるんだろう?


「サクラ…?」

「あ、ごめんごめん!ちょっとぼーっとしてて…。ι」


そう言って笑ってみせると、サイは一瞬溜息を吐いてスケッチブックを開いた。


「サクラの木…?」

「この絵、サクラにあげます。」

「え?でも……」

「サクラは今、自分は何もしてないって思ってる。 だけどサクラの笑顔はこの桜の様に人を癒す事が出来る。」

「サイ…?」

「…だから僕は本当に心から笑ってるサクラを見るのが好きです。」


それだけ言って私にスケッチブックを持たせると、その儘何所かへ行ってしまった。






―――サクラの笑顔はこの桜の様に人を癒す事が出来る。






「サイ……。」


私はスケッチブックを抱き締めた。
春の暖かな風が花ビラを散らす。

私もこの桜の木の様になりたい。
貴方の為に…


「私もアンタの笑顔を見るの嫌いじゃ無いょ…。」



貴方だけに咲く桜になりたい。




―end――…





 
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