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□本命の君へ。
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本命の君へ。




君の笑顔を見たら僕も笑顔になる。
それは何時からか…
何時の間にか僕は作り笑いなんてしなくなったんだ。






「サイ!アンタにもあげるゎ。義理チョコ。笑」

「義理…。」


一ヵ月前、僕はサクラからバレンタインのチョコを貰った。
こんなモノ貰ったのは初めてで綺麗にラッピングされた桃色の箱を見る。
じっとチョコを見て居る僕にサクラは瞳を丸くして居た。


「サイ、チョコ嫌いなの?」

「いえ…嫌いとかじゃなくて初めて女の子からこう言うの貰ったから……。」

「そうなの?」

「はい…。」


頷いた僕にサクラは華の様な笑顔になった。
自然と僕も笑ってしまう。
またチョコに視線を落としたのと同時に男にしては高い声のナルトが走って来る。


「サクラちゃーん!俺に何か渡すモンとかない?ない?笑」

「そんなモノある訳ないでしょ。アンタは貰うんじゃなくてあげる方じゃない。」

「えーっ!俺もチョコ欲しいってばょ!!サクラちゃんのチョコー!!」


僕の目の前でサクラにチョコをねだるナルトにサクラは溜息を吐くと財布から小銭を出してナルトに渡した。


「此で板チョコでも買いなさい。」

「Σ酷っ!!ι」


ナルトはガックリと肩を落とすと漸く僕の存在に気付いたのか、僕がサクラから貰ったばかりのチョコを見た。


「サイ、それってばサクラちゃんに貰ったの?」

「うん。義理だって…。」

「嘘!サクラちゃん義理チョコはそんな綺麗にラッピング何てしな―――…」

「あぁ!ハイハイ!!ナルト、一緒にチョコ買いに行きましょうね?笑」


サクラはナルトの口を塞ぐとズルズルと商店街の方へ引っ張って行ってしまった。
一人残された僕は首を傾げながらサクラから貰ったチョコを見つめる。
そう言えば、義理チョコを渡す為にサクラは僕をこの場所へ呼んだのだろうか?
チョコから顔を上げるともうサクラとナルトの姿は見えなかった。
仕方無く家に帰ろうとした僕に今度はサクラと仲が良いイノさんが声を掛ける。
僕は走って来たイノさんに顔を向けた。





 
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