N o r m a l

□想い人
1ページ/4ページ





想い人




俺には好きな奴がいる。
でもこれは絶対に言ってはいけない儚い想い。


「ふう…。」


此で何度目の暗殺だろう?
綱手のババァも人使いが荒い。
まぁ今に始まった事じゃねぇが…


「空、リストを…。」

「あぁ分かってる、狼。」


俺はビンゴブックを取った。
チェックを入れる俺を面の下から見つめる狼。


「チッ…。」


らしくねぇ。
俺が人に好意を向けるなんて。
認めたくもねぇ。
だが俺は何時の間にかコイツに焦がれていた。
俺は…
狼が好きだ。
















闇刻、俺は綱手のババァに任務終了の報告をしに火影の屋敷に来ていた。
面倒臭せぇが隊長である俺のやるべき事…。
何で俺が隊長を勤めねぇといけないのか分からないが、此もクソババァが勝手に決めた事だ。
火影の命令は絶対…
嫌でもやるしかねぇ。


「おいババァ、早く済ませろ…俺は任務で疲れている。」

「分かってるょ…、ナルト少しは待ったが効かないのかい?」

「んなもん効くかょ。ごちゃごちゃ言ってねぇで早くしろ。」


少し睨み付けて言ってやる。
すると少しは焦ったみたいだ。
ふん、それで良い。
それで…


「ほら出来たぞ。」

「ふん…。」


俺は報告書を取ると此所を出た。















家に帰った俺は直ぐ浴室へ向かった。
返り血を熱いお湯で流す。
この時も考えるのは狼の事ばかり。
らしくない。
どうして俺はアイツに焦がれてしまった?
狼に知られたら軽蔑される。


「狼…。」


踞った俺にシャワーが流れ落ちる。
こんな俺なんていっそ消えちまえば良い…。
消えて忘れてしまいたい。
狼の事を全て…。
叶わない恋なんてしたくなかった。
明日、また狼と同じ任務に着く。
今度は二人きり。
大丈夫…
何時も通りにしていれば気付かれない。
何時も通り平常心で―――…





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ