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□春風
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春風




春のそよ風が優しく頬を撫でて行く。
ナルトの必死の倫でサスケを里に連れ帰ってから5年。
現在21歳、上忍迄格級したサスケは窓辺で本を読んでいた。
静かにページを捲る音だけが聞こえる。
里に帰って来て5年の間にサスケは恋に落ちた。
その恋愛対象の相手は、誰にでも何時も明るく、太陽の様な存在で
闇の中に居た自分を必死になって光へと連れ出してくれた。
うずまきナルト。
里を、仲間を裏切ったにも関わらず、下忍の頃と何ら変わりもなく接してくれたナルトにサスケは何時しか心を奪われていた。
あの天使の様な笑顔を
宝玉の様な瑠璃色の蒼い瞳を
白く細長い手足を
金に光り輝く髪を
何よりも愛しいナルト自身を自分のモノにしたくて堪らなく
サスケは偶々同じ任務に就いた時云ってしまった。
「お前の事が好きだ」と。
言った後のナルトは頬を紅く染めて、お喋りなのが嘘の様に何も言わなかった。
あれから数十日、サスケは擦れ違っても話は愚か尽くナルトに避けられている。
当然の報いだと思う。
男に告られて喜ぶ男が何所に居ると言うのだろう?
気持ち悪がられて避けられるのは当たり前。
分かっていた筈だ。
こうなる事を。
それなのにナルトに告白してしまった自分を攻め立てるしかなかった。
どうしてあの時言ってしまった?
自分に何度問うてみても、答えが見つかる訳も無く後悔ばかりが募って行く。
それと共に未だナルトの事が好きな自分に出る溜息。
ナルトの反応を見れば振られたも同然なのに。
未練がましくて自分に苛々してくる。


「はぁ…。」


サスケは本を読んでいられなくなってベッドに突っ伏せた。
頭の中は前よりもナルトで一杯で
パンクしそうな位好きだと言う事が身に染みて来る。




 
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