P a r a l l e l

□花火
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その夏架志の言葉を聞き、成斗はにっこりと嬉しそうに微笑んだ。


「任せとけってばょ!俺ってば頑張るってばょ!!」

「そうか!頼むぞ〜成斗!!」


夏架志は成斗の頭をわしわしと撫でながら、鎖介を見て問い掛ける。


「鎖介もやってくれるか?」


優しい微笑みと声で問いかけてくる夏架志の言う事は鎖介にとって別にどうでも良かったが、成斗の嬉しそうな顔を見て断る事など出来る筈がない。


「……はい。」


鎖介はポツリと呟いた。


「うん。ありがと〜な鎖介!!それじゃ、今日からスパルタだぞ?」


こうして鎖介と成斗の練習が始まったのだった。














成斗と鎖介の練習はとても厳しく夜遅くまで続いた。
一緒に練習していてはいたが、練習内容が微妙に違っていた為、休憩時間や就寝時間はあまり揃わなく話をする機会が減っていった。

たまに就寝時間が重なっても夜も遅く、お互い疲れていた所為か直ぐに寝るようになってしまった。

そしてあっという間に5日が過ぎた。















成斗は今日の練習を終え風呂に入る準備をしていた。
鞄の底の方に手を入れ、洗面用具を取り出す。
すると何かが鞄から一緒に出てきた。


「ん…?何だってばょコレ?」


其は鎖介と約束した線香花火。


あ…コレ鎖介とやろうって思って持ってきたんだっけ…?


花火をつかんでそれを見る。
暫くして何か温かいモノが頬をつたったのを感じた。





『成斗知ってる?』

『何をだってばょ?桜ちゃん。』

『あのね…もし成斗に…』





中学の時の会話が頭をよぎる。
あの時聞いた、花火の話。













6日目の昼、久々に成斗と鎖介は休憩時間が重なった。
成斗は鎖介に寄っていき話掛けた。


「あ、あのさ鎖介…。」

「…ん?」

「1日目にさ花火…約束したの覚えてるってば?」

「あぁ。」

「今日の夜…やりたいってばょ。」

「そうだな。…やるか?」

「本当!?約束だってばょ!?」

「うん。」


とても嬉しそうに笑う成斗を鎖介は優しい眼差しで見つめた。


俺の気持ちも知らないで…。


暫くして二人は午後の練習を始めた。













夜の練習が終わった成斗は鎖介を誘いに行くと、鎖介も練習を切り上げたところだったらしい。


「鎖介、花火やるよな?」
「うん。今から行く?」

「それじゃあさ俺ってば湖の畔でやりたいってばょ!!」

「あぁ。」


成斗と鎖介はテニスコートを出て湖の方へ向かった。




 
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