E x c e p t
□本命の君へ。
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イノさんも僕の持って居るチョコを見て驚いた様な顔になる。
「えっ、サクラ此サイさんに渡すつもりだったの!?」
「何がですか?」
「そのチョコレート、アタシとサクラで一緒に作ったんだけど……そっか、そうだったのね〜。笑」
「あの…。」
「それで、サイさんは?」
「え?」
「返事どうしたの?」
全く話が読めずに眉間に皺を寄せて考え込む。
イノさんはそんな僕に溜息を吐いて頭を抱えた。
「義理って言われたのね?」
「あ、ハイ。義理チョコって渡されました。」
「あーもう何やってんのかしらサクラは…。サイさん、それ義理じゃなくて本命ょ!」
「本命…ですか?」
「サクラがそんなに綺麗に義理チョコラッピングするのは担当のカカシ先生とヤマト隊長にイルカ先生、それと昔はサスケ君だけだったのょ。」
僕はイノさんの思いも寄らない発言にまたチョコを見てしまう。
まさかあのサクラに本命のチョコを渡された何て全く信じられない。
何時も通りの素振りで、初めて貰ったチョコが本命。
驚いた儘の僕の肩に手を置いてイノさんはニッコリと微笑んだ。
「アタシはサクラに話があるからもう行くゎ。またね、サイさん。」
そう言うとイノさんは携帯を取り出して僕から離れて行った。
もう僕の頭の中はサクラと貰ったチョコの事で一杯だった。
帰路を歩いて家に着く迄ずっとその事ばかり考えて居た。
「本命って事は、サクラは僕の事を好きなのかな?」
自分で言って少し顔が熱くなる。
僕は何時からこんなにも感情的になってしまったのだろうか?
サクラには本当に敵わない。
綺麗にラッピングされたチョコの箱を出して僕は確かに義理とは思えないハート型のチョコを一粒口に入れた。
僕は木陰の下で一ヵ月前の事を思い出しながらサクラを待って居た。
あの後、サクラの態度が急変した訳でもなく
今迄通りの一ヵ月間が過ぎ去った。
本当に本命だったのかと何度も悩んでしまったし、僕は気が付くと何時もサクラの事を考えてしまって居る。
僕はホワイトデーに御返しとして何をあげれば良いのか分からない儘、取り敢えず自分が貰って嬉しいモノとサクラに似合いそうなネックレスを一緒に入れた白い紙袋を見つめた。