GEARMAKER部屋2
□★欲望の葛藤
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たまたま、現世で手に入れた一つの薬
熱いココアの中にかき混ぜながらさらさらと降り注げば
それはさっと溶けて姿を消した
「・・・・ふぅ。」
読んでいたページにしおりを挟み、パタンと本を閉じる少年
若い体とはいえ、やはり長時間同じ姿勢であれば肩が凝ってしまう
少年は腕を伸ばして軽く背伸びした後、肩を回して痛みを解した
「・・・・ん?」
見計らったかのように、扉がノックされた
「失礼します。」
やってきたのはレイヴン
何か緊急の用事かと思ったが、そうでもなく
「そろそろご休憩かと思い、飲み物をお持ちしました。」
「気が利くね、助かるよ。」
小さなトレイに乗せられた白いマグカップから甘い香りが漂っている
疲れた頭に糖分はありがたい
机に置かれたマグカップを手に取り、少年は微笑んだ
「マシュマロ入ってる。」
スプーンでくるくるとかき混ぜ、少年は上機嫌
好きなもので喜ぶ姿は普通の子供にしか見えなかった
誰が思うであろう・・・
この少年が<神>に背き、<世界>を敵に回しているなどと・・・
「では、私はこれで失礼します。」
「あぁ。」
一礼して書斎から立ち去る側近を見
早速湯気立ち上るココアを一口飲んだ