□恋愛捜索隊
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事の発端はフランシスのある行き過ぎだ行動だった、それは一般的にキスと言われるものだったのだがされた側、つまりアーサー側からすれば鈍感故、何故キスを、しかも人前(フランシスの友人であるアントーニョ)でされたのかなど分かる訳はなく、思わず流れた一筋の涙でそれは起こった
元々、友人(と呼ぶには足りないが)のフランシスとアントーニョ、その関係は普段ならば変わる事ない、のだがアーサーが絡むと関係は友人からライバルへと変わるのだ、フランシスはアーサーと腐れ縁と云う切っても切れない、その分良くも悪くも近い存在であり、アントーニョはつい最近まで一触即発な敵対関係にあった、今現在は友人と云う位置にまで戻ったが
話を戻せば、その前から嫉妬に陥ったアントーニョが少々、性格からして珍しく荒々しい口調でセクハラじみた行為をアーサーにするフランシスに対し制止の言葉を口にしていたのだがそれを流すように、見せ付けるように返していたフランシス、なんとも言えない空気の中冒頭の通りの流れで、その後取っ組み合いから殴り合いにまで行き、自分を取り合ってこんな事になっているなど知る由もなく混乱のままその光景を涙と共に硬直し見ていた所、ギルベルトが通り掛かり(弟との予定をドタキャンされ慰めて貰おうと向かったのだけれど)なんとか止めに入り、話し合いで済むとは到底思えなかった為、ひとまずフランシスを連れ怪我の治療も兼ね保健室へと向かった
残されたアントーニョとアーサーの空気は重く鉛のようなもので、数分間の無音の後「ごめんな」と謝罪の言葉、勿論それだけの意味ではないのだが中心的には謝罪と呼ばれるものだろう
なんと言えばいいのか分からなく、俯いたまま小さく首を横にふり袖で目元を擦り、僅かに顔を上げると口元をギュッと結び何かに耐えるような表情、殴られた際に出た口端の出血は痛々しい、恐らくフランシスも同じようになっていただろう
「‥‥ほんまに、ごめん」
今度はアントーニョが俯く側になり再び無音の時間が過ぎていく、実に心地悪い時間だ
その頃フランシスとギルベルトは、保険医が不在だった為そのままそこにある消毒液などを借りる事にした、しかしそれに関し無知なギルベルトな為、指示を出したのはフランシスであり治療自体もフランシス自身がしようとしたのだが流石にそれ位はさせろと云うギルベルトの言葉で傷口にしみる痛みに無言で眉に皺を寄せていた
「‥どうするつもりなんだよ、このあと」
指示された通りに進めていきながら問い掛けるギルベルト、不慣れな手付きとは反対に言葉だけは真がある
フランシスは困ったような笑みを浮かべるもその表情は切なく渇き掠れた笑いを零した
「‥分かんないや‥あんな事するつもりじゃなかったんだけど、さ」
分からない、自分の気持ちも自分がどうしたいのかも
あんな事、行き過ぎた行動
そういう意味だろうか、それを知ってか知らずかギルベルトはたっぷりと消毒液をつけた綿を呆れた怒りとも呼べるそれと一緒に傷口にへと押し付けた
「いっ!‥っ、ギルお前な「そんなごちゃごちゃ言い訳やら言ってるんだったら、俺があいつの事、貰うからな」
ピクリと眉が動き、軽く睨め付けるよう目つきを変える、しかし意味もなくそれを片付けながらさらりさらりと続きを言って行く
「今なら簡単に隙間に入れるだろうし、ああいう時に優しく声掛けて貰えりゃあいつの性格なら必ず惹かれるだろうしな、そうなれば落とすのだって簡単だ」
狡賢いと呼ばれるギルベルトの頭脳上の考え、言葉ではなく、それはフランシスへの脅しと云う名の後押し
いつものような言葉ではない事に気付いたフランシス、早々に立ち上がり扉に手をかけ首を僅かに振り向かせギルベルトの方をちらりと見るも何も言わずそのまま走り去っていった
まだ明るく光が差し込む中、溜め息をつき薬臭いそこに佇みながら呟いた「俺だって、アーサーのこと好きなのによ‥あーあ、一人楽しすぎるぜー」
明るく言い放った言葉は誰にも聞こえることなく消え去った
その後、関係が修復されたのかと聞かれればイエスともノーとも言えない微妙な所
簡潔に言えば、保留と云う事になったと言っておこう
他に言える事はただ一つ

今日も相変わらず馬鹿やってます

(恋愛捜索隊)

end

後味なんか悪っ←
しかも悪友×英になっちゃったよ英喋ってないよみたいな
\(^o^)/

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